はじめに
先日、大学生向けに投資セミナーを行いました。テーマは「消費増税時の投資戦略」です。参加した学生たちの知識量や思考能力はすごく、改めて筆者自身も日々勉強していかないといけないと思いました。このセミナーの様子が、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」に取り上げられたのですが、放送の中で筆者が「絶対に覚えておくべきことは、将来は誰にもわからない」と学生たちに話している場面でした。
放送後、この場面の画像をツイートしたところ、非常に多くの人から意見をもらいました。ということで今回は「将来を予測する」について考えていきましょう。
何事にも「絶対」は存在しない
「将来は誰にもわからない」というコメントに対して寄せられた意見は大きく2つに分類できます。1つは「アナリストを名乗っているのに将来を予測できないなんて職務放棄だ」と批判的な意見。もう1つは「投資において重要なことだから、専門家がこう言えるのは素晴らしい」との意見。受け止め方が極端に分かれていることが非常に興味深いですね。
筆者は投資に関するセミナーでお話するときは、「将来のことは誰にもわからない」ということだけではなく、「投資の世界に絶対はない」とも伝えています。たしかに、わざわざセミナーに専門家の話を聞きに来ているのだから、どの銘柄が上がるのか、このあとマーケットがどう動いていくのか、はっきりとした意見を聞きたいという気持ちはわかります。
しかし、それは専門家であってもできないのです。少なくとも筆者にはできません。もし将来が確実に予測できるのなら、自分で運用して早々に億万長者になれるのに、誰もそうはなっていないことからも、不可能です。
逆説的にいえば、投資に関して「絶対」という言葉を使う人がいれば、話を鵜呑みにせずに「詐欺かもしれない」と、ワンクッションおく習慣を身に付けるのが重要。そうすれば騙されることもなくなるでしょう。
シナリオをいくつか立てよう
当然、将来のことは確実に予測できませんが、だからといって何も考えなくていい訳ではありません。前述のセミナーでも、例の発言のあとには、「起こりうるシナリオをいくつか立てよう」と、伝えています。
将来に対して、絶対にこうなる、と決めつけるのは非常に危険な行為ですが、これが起きればこうなる可能性が高いなど、いくつかのシナリオを立てて将来に備えることは非常に重要です。
過去の事例や時系列のデータを分析していけば、ある程度の確度をもったシナリオを作ることはできます。多少の手間はかかりますが、何も考えないよりはリスクを低減することが可能でしょう。また、手間をかけていくつもシナリオを立てることによって、仮に立てたシナリオの全て、またはいくつかが外れてしまったとしても、それは血となり肉となり、投資力の向上に時間をかけて繋がっていきます。