はじめに

「選択の自由」を持つためにもお金は重要

――キャリアや経済力がないから自分に自信が持てないと考えている女性も少なくなさそうです。弱い立場を少しでも強いものに変えるという点でいうと、経済的自立は重要でしょうか?

中野さん: 当然必要です。お金である程度のことは解決できますからね。

スーさん: 選択肢が増えますよね。経済力があることは自由が増えるということにもなると思うんです。

中野さん: 経済的に満足していることで得られる最大のメリットは「ちょっと待てる」ということですね。待てないとどうなるか。今、1万円もらえるか、それとも1年後に100万円をもらえるかを聞かれて、目先の1万円を選んでしまうんです。貧しいということはそういうこと。経済的に恵まれないだけではなく、判断力がなくなるんです。

「お金が大事」という言葉に抵抗がある人は多いかもしれません。でも、健全な判断力を担保するリソースとして、お金があるということはとても重要です。


中野信子さん

「怒ること」に他人の許諾はいらない

――ここ最近、SNSなどで「女だからこんな扱いをされた」というような発言をする人が増えたように感じます。

スーさん: これまでは怒る機会すら奪われていた人たちもいたんですよね。「怒ると女らしくない」とかヒステリーと言われることに対して、無視できる人たちばかりではないので。自分たちの扱いに怒っている女性たちを見ると、ようやく「怒ってもいいんだ」、というフェーズに入ってきたんだなと思います。

――では、モヤモヤを感じていることに、もっと声を上げてもいいのでしょうか?

スーさん: なにがなんでも声を上げろとまでは言いません。声を上げるか上げないかはその人の自由。なぜ、女に生まれたというだけでモヤモヤするのか。その裏にはこういう理由があって、個人の問題ではない。この本に書いてあることは、そこまでです。怒っていいかどうかは、他人の許諾を得るものではありません。

声を上げていいかどうかなんて私たちに聞かないで、自分で決めていいんですよ。自分の怒りで場を乱したくないし、失敗もしたくないんでしょうけど、そこの責任も自分で取っていけるんだから。

中野さん: 「質問していいですか?」と質問しながら聞いたり(笑)。でも、それは相手に気を使っているというより、単なるリスクヘッジですよね。

スーさん: 人によっては、声を上げたときに男性よりも女性のほうが分が悪くなる場面があるのかもしれません。だから無理強いはしたくない。でも、現状をよく観察していれば、自分の船を思った方向に進めるためには、どのタイミングで声を上げるのがベストかを見極めることはできると思います。

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