はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する深野康彦氏がお答えします。

現在、住宅ローンの残債が1,300万円ほどあり、繰上げ返済を考えています。一方で、住宅ローン控除も残り7年ほど残っています。住宅ローンは35年で組んでいますが、共働きなので、毎年200万円程度は繰上げ返済できる見込みです。あと5、6年ほどで返済したいと考えています。繰り上げ返済のタイミングについてアドバイスをください。
世帯収入:1,100万円(夫700万円 妻400万円)
金融資産:貯金900万円 株・投資信託100万円
住宅ローン:1,300万円(借入時は1,800万円)変動金利0.875% 返済はボーナス併用・月3万円、ボーナス時20万円
(30代後半 既婚・子供1人 男性)


深野: 住宅ローンに関するご質問ありがとうございます。

早速、回答させていただきますが結論から言えば、繰り上げ返済のタイミングは早いほうがよい、ということになるでしょう。

住宅ローン控除は、すでに返済した期間と残りの返済期間を足した期間が10年以上ないと利用することができません。

ご質問者の方の場合、すでに繰り上げ返済を実施していることから、現在の住宅ローンの総返済期間は、ちょうど10年であるものと思われます。その場合、住宅ローン控除をぎりぎり利用できるかと思われますが、再度繰り上げ返済を行えば、住宅ローン控除はそれ以降、利用できなくなります。

できるだけ早めの繰り上げ返済が得

しかし、先に述べたように、残り5、6年で完済を考えていらっしゃるのでしたら、住宅ローン控除が使える・使えなくなるにこだわる必要はないと思います。

そして、仮に今年の住宅ローン控除を利用したとしても、税額控除はせいぜい13万円弱と推測できる一方、記載されている繰り上げ返済額は200万円。200万円を繰り上げ返済した場合の利息軽減効果は、住宅ローン控除を利用した場合の税金還付額より多くなることでしょう。

そうであれば、繰り上げ返済のタイミングを計るよりも、できる限りに早めに繰り上げ返済を行う方が得になるはずです。

また、住宅ローン控除額の金額は、年末時点のローン残高によって決まるため、繰上げ返済を11月や12月に行うよりは、年が明けた1月に行ったほうが、住宅ローン控除を利用した際の残額が多いので、その分税額が安くなると言われています。

ご質問者の方に直接影響があるかどうかはわかりませんが、繰り上げ返済のタイミングという点では年末よりも「年明け」と覚えておかれるとよいでしょう。

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