はじめに

スペインから輸出される「イベリコ豚」以外の豚肉は?

スペインの食に興味のある方なら、ハモン・セラーノと呼ばれる生ハムを食べたことがあるのではないでしょうか。
このハモン・セラーノの原料となるのが、セルド・ブランコと呼ばれる白豚。日本人が、「豚」と聞くと最初に連想する肌の白い豚が、この種類の豚にあたります。この白豚も、スペインから日本に輸出されている豚肉なのです。

セルド・ブランコは、セルド・イベリコよりも早く成長するため、生後10ヵ月から出荷することができます 。そして放牧の必要がなく、室内で飼育されます。こうした理由から養豚農家はセルド・ブランコを、セルド・イベリコよりも低コストで生産することができるのです。

とは言え、実はこの豚をスペインで飼育するのは、簡単なことではありません。スペインは日光が非常に強いため、セルド・ブランコの皮膚が日焼けしてしまうことがあるのです。もちろん、白豚が日焼けをすると、その商品価値は低下します。そのためセルド・ブランコが飼育されている主な地域は、スペインでも北側の地域に集中しています。

最近はこうしたイベリコ豚以外のスペイン産豚肉の需要も増えていますので 、今後スペイン産の豚肉を日本で食べる機会がますます増えるのではないでしょうか。

スペイン人がイベリコ豚より多く食べるのは?

このようにスペインでは、セルド・ブランコとセルド・イベリコの2種類を食べることができる国です。では、スペイン人はどちらをより多く食べるのでしょうか。

多くのスペイン人は、生ハムとしてセルド・イベリコ(ハモン・イベリコ)とセルド・ブランコ(ハモン・セラーノ)両方を食べます。しかし、加熱調理するときには、セルド・ブランコを使う人が多い傾向にあります。

つまり、総合的に見ると、セルド・ブランコの方をより多く食べるスペイン人の方が多いのです。その理由はずばり、セルド・ブランコの方が価格が安いため。スペイン人が肉を食べる量は日本人よりもはるかに多いので、その価格がかなり重要なのです。

このように、日本で食するスペイン産豚肉が、すべてイベリコ豚であるというわけではありません。しかし、スペインのセルド・ブランコの味はほかのヨーロッパの国と比べても、決して劣るものではありません。ぜひ、スペインの豚肉を日本でお楽しみください。

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