はじめに

広がる作り置きのレパートリー

経済産業省が2018年に発表した家事支援サービスについての調査によると、2017年時点での市場規模は推計で約698億円。今後、高齢化や共働き世帯の増加により、2025年時点で市場規模は少なくとも2,000億円程度、最大で8,000億円程度にまで拡大する可能性があるとしています。このように市場全体が拡大する中で、各社は独自色の打ち出しを強めています。

シェアダインでは、妊娠しやすい体を作るとされる栄養素を盛り込んだ“妊活食”も人気だそうです。たとえば、身体を温めるとされる食材や、妊娠前後で摂取が推奨される葉酸などビタミンB群が含まれるメニューを提案したりします。

男性には、老化を防ぐとされるかぼちゃ、アーモンド、アボカド、うなぎなどを使ったメニューや、男性ホルモンの生成に必要な牡蠣、シジミ、レバー、卵黄など亜鉛を含むメニューを提案するそうです。


この日シェフが作った8品。タッパーは自宅にあるものを使う

また、生活習慣病に対応した料理もニーズがあります。たとえば、高血圧の人がいる家庭では、ダシを効かせたり、スパイスを活用したりすることで、塩分が少なくてもおいしく食べられるメニューが喜ばれるそうです。

ほかに、作るのに時間がかかる離乳食や、好き嫌いの多い幼児でも食べられるよう工夫した“食育食”などを得意とするシェフにも依頼が多いそうです。

コスパはどうか

この日のサービス料は、交通費込みで9,800円。食材は近くの高級スーパーでそろえたために4,000~5,000円かかりました。約1万4,000円で夫婦2人の1週間分の料理ができた計算で、1食当たりのコスパは約1,000円でした。

同社によると、シェフのサービス料は3時間7,000円から。約3,000円の食材で4人家族の4日分の食事を作ることが基本で、1食あたり650円程度と市販のお弁当やミールキットと変わらない価格になるそうです。

これまでは共働きの子育て世帯がユーザーの中心でしたが、新たにサブスクリプション(月額制)のサービスを始めたところ、シングル男性などの利用も増え、ユーザーは前月比50%増を続けています。来年以降、関西や中部の都市圏にもサービス拡大を検討するそうです。

同社のスタッフは「単なる料理代行ではなくて、個別の家庭のニーズやお悩みに応じてメニューの提案・調理を行うのが当社の特徴。気に入った料理のレシピを後日チャットでシェフに聞くことができたり、知らない料理や食材に出合えたりすることも魅力なのでは」と話します。

日々の仕事が忙しいと、夕食の献立を考えたり、料理をしたりすることが大きなストレスになるもの。とはいえ、外食やインスタント食品が続くと、家計や健康に良くありません。たまには思い切って外注し、ゆっくりとした夕食の時間を過ごしつつ、自分の料理レパートリーを増やすのもアリかもしれません。

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