はじめに
大幅減益の厳しい決算内容
ペッパーフードサービスの2019年度上半期の売上高は351億円(前年同期比25.6%増)、本業の儲けを示す営業利益4億円(同73.0%減)と、2ケタ増収したものの大幅な減益。期初に出した計画値に比べると、売上高は83.3%、営業利益は21.6%と、未達に終わりました。
「いきなり!ステーキ」事業のセグメント売上高は同28.6%増の302億円、セグメント利益は同26.6減の16.8億円となっています。客単価は2月を除く5ヵ月が前年同月の90%台後半と健闘したものの、客数が同70~80%台と大幅減となった結果、既存店売上高は前年同期比21.4%も減少しました。
同チェーンは、2013年に開店した銀座の1号店を皮切りに店舗数の拡大を続け、現在の店舗数は路面店342店、ショッピングセンター店130店の計472店(2019年6月末時点)。この半年間では、海外を含め82店を新規出店しています。こうした出店攻勢が売り上げ増加に寄与しましたが、2019年下半期は出店を減速させ、既存店のテコ入れを図る方針です。
「とてつもない数字であることはわかっていましたが、昨年は200店舗と公言して202店舗の出店を果たすことができました。しかしながら、本年を迎えて、店舗の拡大よりも1店舗1店舗のお客様数、売上高、利益にこだわると結果から判断しまして、途中で方針を変えたわけです」(一瀬社長)
既存店がここまで落ち込んだ事情
一瀬社長によると、昨年は店舗数の増加にコミットし、多少無理があっても売り上げに勢いがあったため、出店を継続。ロードサイド店舗を中心に拡大しましたが、一部店舗で自社同士の競合が発生しました。その反省を踏まえて「店舗間の距離を十分にとって、カニバリゼーションが起きないようにしたい」としています。
自社内で競合していたロードサイドの一部店舗は、ペッパーランチへの業態転換を進めています。いきなり!ステーキで扱っているヒレ・リブロースなどの高単価な商品を、ペッパーランチのメニューに追加する予定です。
いきなり!ステーキのロードサイド店舗では、子供連れの家族客も訪れますが、メニューやサービス面で課題が残ります。これまでに50店舗近くをローテーブル・ローチェアーに切り替え、「プラスメニュー」として子供向けのメニューを提供。しかし、客数増加にはつながらず、反省も多いという一瀬社長。「親子連れで来たら受けられる割引もやってみたい」と語ります。
他にも、肉を焼く技術が満足のいく基準に達していないなど、問題は山積み。急速な店舗拡大のシワ寄せが及んできた、いきなり!ステーキ。オイスターなどの新たな武器で、以前のような勢いを取り戻せるのでしょうか。