はじめに

あおり運転にはドラレコ、ではペダル踏み間違い防止には?

今も毎日、どこかで起きているブレーキペダルの踏み間違いによる事故。そんな悲劇が繰り返されないため、どんな解決策があるのでしょうか? 高齢者の免許返納という一元的なものでは決してなくならないでしょう。

そこで、ブレーキペダルの踏み間違いを解決できるだろうといわれている、いま話題の3タイプの商品を早速試してみました。


ターゲットは後付けタイプ

“ぶつからないクルマ”といった最新の電子制御を装備することは、ある程度の抑止効果があります。しかし問題は少し前の、そうした電子ディバイス機能を装備していないクルマなのです。

高齢者をはじめとした踏み間違い事故が、少し古いクルマで発生率が高いことは、これまでの事故を見ても分かると思います。そこで最近急激に注目度が上がってきているのが“後付け踏み間違い防止装置”なのです。今回はその中からオートバックス・セブン「ペダルの見張り番2」、ナンキ工業「STOPペダル」、ナルセ機材「ワンペダル」の3タイプを試します。

電気的に踏み間違いを感知し、エンジン回転を制御

まずは大手カー用品店が扱うオートバックス・セブン「ペダルの見張り番2」です。2016年からアフターパーツとして発売され、人気商品となっていた初代モデル「ペダルの見張り番」がありましたが、いくつかの改良が施され、今年から「ペダルの見張り番2」にバージョンアップしました。

作動するのは時速0kmから10kmの範囲内、つまり信号待ちや駐車場などで踏み間違いによる誤発進に対応する用品です。制御するのはあくまでアクセルのみで、ブレーキを制御することはありませんから“ぶつからないブレーキ”といったものとは違います。

また、アクセルが電子制御されていない古いクルマ、逆に最新の衝突安全装備のクルマにも、取り付けは基本的に行わないとオートバックスのIR広報部は言っています。

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アクセルの回路の途中にシステムを割り込ませる仕組みのためもっとも小型でシンプル

早速、サンプルカーの日産セレナに乗り込んで試してみました。停車状況から一気にアクセルを床まで踏み込むと、タコメーターの針がアイドリング状況から一瞬だけ1千回転ぐらいまでフワッと上昇します。

しかし、すぐにアイドリングの回転数まで針は落ち、アクセルを踏み続けても上昇しません。一方でクルマはクリープほどの速度で前進を続けますが、同時にドライバーにはブザーとランプによって“踏み間違っていること”を知らせてくれるのです。

通常ならばここでドライバーが踏み間違いを認知してペダルから足を離すはずですから、暴走は避けられる事になるのです。そして例え踏み間違っていることの認知が遅れたとしても、先行車にクリープの速度でコツンと当たる程度で終わります。暴走事故か、軽い物損事故か。その差は天と地ほどの差があるわけですね。

またパニックになったとき「アクセルとブレーキが同時に踏まれる事があります。その場合はブレーキ動作が優先され、アクセルは制御されます」と広報担当者は回答。このブレーキ動作が優先される『ブレーキオーバーライドシステム(BOS)』を備えることでも誤発進は防止できることになります。

その操作感は不自然さがほとんど無く、アクセル操作をごくごく普通に操作しているときは作動することもありませんでした。少し気になったのは踏み間違いが起きた際のブザーの音量が少し小さいことと、パイロットランプが小さいことぐらいでした。あくまでもアクセルの制御を行うのは極低速での踏み間違いがあった場合で、時速10kmを越える速度では作動しないということは理解してください。

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踏み間違いをしてアクセルを強く床まで一気に踏み込むと、 警報音とともに車両は極低速で進むが暴走はしない。

あと脇道から幹線道路への合流などで“どうしても急加速が必要な場合”のことも気になるかもしれませんが、このシステムにはスイッチ操作によってワンタッチでキャンセルできる機能もあります。デフォルトでは作動する状況ですが、急加速が必要なときにはキャンセルすればいいので使い勝手に大きな不便はないと思いました。

実際の取付けですが、車種にもよりますが時間は90分ほどで、価格は本体+車種別ハーネス、そして工賃込みで43,200円(参考価格)です。国産車の210車種ほどに対応しているのでメーカーにお問い合わせください。ただ、現在は注文や問い合わせが殺到している状況で、最大だと2ヶ月以上のウエイティングが発生す場合もあるということです。

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