はじめに
世界で一番大きな会社はどこかご存知ですか?
答えはアメリカの「アップル」、次いでGoogleの持ち株会社である「アルファベット」、そして「マイクロソフト」と続きます(記事執筆時の時価総額より)。世界トップ3のビッグカンパニーですので、これらは日本でもよく知られていますよね。
一方、今回取り上げる「テンセント」という会社、あまり聞きなれないかもしれませんが、実は現在、会社の規模を表す時価総額がアジア最大となっています。同じ中国企業である好敵手は「アリババ集団」で、両者はアジアNo.1の座を争っています。
ソフトバンクの孫社長が投資をして大成功した企業として、アリババは日本でも有名になりましたよね。NYにも上場を果たし、中国を代表するネット企業として成長しています。
今回は、あまり知られていない中国IT業界のもう片方の巨人「テンセント」をご紹介します。
アジアの時価総額ランキングトップ7
順位 | 企業名 | 時価総額 | 国 |
---|---|---|---|
1 | テンセント | 30兆5,000億円 | 中国 |
2 | アリババグループ | 29兆9,000億円 | 中国 |
3 | サムスン電子 | 29兆円 | 韓国 |
4 | 中国商工銀行 | 26兆8,000億円 | 中国 |
5 | チャイナ・モバイル | 25兆3,000億円 | 香港 |
6 | 中国建設銀行 | 22兆9,000億円 | 中国 | 7 | トヨタ自動車 | 20兆3,000億円 | 日本 |
※時価総額は執筆時。1香港ドル=14.33円、1ドル=111.33円、1ウォン=0.0996円、1元=16.17円として計算。わずかな誤差や間違いがあるかもしれませんがご容赦ください
アジア企業の時価総額ランキング上位を出してみました。トップ3は肉薄しています。韓国勢は「サムスン電子」の健闘ぶりが目立ちますね。一方、日本のNo.1「トヨタ自動車」は、アジアでは7番目。これだけを見ても、中国勢の規模がいかに大きいかがわかります。
そのなかでも現在、頂点に君臨しているのがテンセントです。3月15日に発表された2016年4Qの決算発表を見ながら、テンセントの特徴を探ってみました。
アジアNo.1企業「テンセント」の特徴は?
テンセントは中国の大手IT・ネットサービス企業です。創業は1998年、2004年には香港市場に上場しました。「WeChat」と呼ばれるメッセンジャーアプリを軸に、幅広くサービスを展開しています(WeChatは日本で言う「LINE」みたいなものです)。
特徴1:幅広いサービスを展開
この幅広くという点が特徴のひとつで、同種のメッセンジャーアプリ「QQ」、SNSアプリ「Qzone」、オンラインゲーム、ニュース、ビデオ、音楽、ブラウザそして、モバイル決済とさまざまなプラットフォームを構築しています。
※テンセント2016年4Q決算説明資料より。以下同
それぞれのサービスで、かなりの数のアクティブユーザーを獲得できています。
WeChat:8.9億人
QQ:8.7億人
Qzone:6億人
この手のサービスでよく指標となるのが、「MAU」と呼ばれる一か月で一度でも利用するユーザー数ですが、このように3つともかなり多くの数字を獲得しています(LINEは1.6億人)。
しかし、実はSNSの王者「Facebook」陣営のメッセンジャーアプリ「WhatsApp」と「Facebook Messenger」、そして本体のFacebookのMAUはすべて10億人を突破。主に中国国内を相手にしているテンセントに対し、Facebookは世界を制していますので、数字の面では水をあけられた格好になっています。