はじめに

あっけないほど操作は簡単

さて、ここまでプロパイロット2.0について細かく書いてきましたが、やはり機能について「何ができて、何ができない」ということをきちんと理解しておかないとせっかくの先進技術も“宝の持ち腐れ”です。

今回、中央自動車道富士吉田線の河口湖インターチェンジから大月方面へ向かい、その往復でテストをしてみました。

まず高速道路本線に入線し、周りの状況を確かめた後、ステアリング右側にあるブルーのメインスイッチを押します。これで準備は完了。あとは自分で走りたい速度に到達したら、メインスイッチ左上の「SET-」を押すだけです。

これで基本は終了です。何ともあっけないほどですが、操作自体はプロパイロットや他社のACCとほぼ同じ。最先端の技術とはいえ、運転中ですから安全を考慮すると「敷居は低く」しておく必要があるわけです。

見やすい2つのディスプレイがポイント

プロパイロット2.0をオンにして設定速度でセットするとメーターの中にハンドル支援のための作動状態が表示されます。表示は3種類あり
●白→車間と車速の制御のみが作動、ドライバーが操舵する必要があります
●緑→従来のプロパイロットと同様で“ハンズオン”での車線内走行が可能
そして
●青→“ハンズオフ”での車線内走行が可能
となります。

これは前述した速度をセットした後、車両側が条件を満たした時に自動的に色が変わるのでドライバーは今走っている道路や周辺の状況からハンズオフが可能なのかを簡単に理解できます。

ディスプレイはもうひとつあります。それがHUD(ヘッドアップディスプレイ)と呼ばれるもので、フロントウインドウに同様の情報を投影するものです。視線移動なども少ないので通常はこれを見ればほとんどの機能が確認できます。

本当に手を離しても走行できる

さて走行中ディスプレイ内のハンドルアイコンが青に変わりました。恐る恐るステアリングから手を離してみると……「おおっ!」感動の瞬間です。確かにクルマは車線の中央を走り続けます。

これを実現するためにプロパイロットより、はるかに高い技術が搭載されています。カメラは単眼から三眼の「トライカム」と呼ばれる合計7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーにより車両全体、つまり360度の検知が可能になりました。

制限速度やカーブの大きさに合わせて速度も自動で調整してくれますし、標識をカメラで見ているので制限速度が変わった場合も設定速度を自動で変更してくれます。

また走行中、追い越し車線からトラックなどが接近すると、メーター内にもその状況が表示されます。何とトラックであること(クルマの形)も画面上に表示されるなど常に車両が周辺を監視してくれていることで安心感を得ることができます。

クルマはいつもあなたを見ています

ハンズオフが出来たからと言ってもドライバーは何か急なアクシデントに対応するためにはスマホなどは見てはいけません。例えばスマホを見ようと視線を下の方に向けっぱなしにしたり、よそ見を続けると車両側から警告が出ます。これが「ドライバーモニター」と呼ばれる機能で前方を注視するという当たり前の行為を常に見張ってくれるわけです。

車線変更もおまかせです

走行中、前方にやや速度の遅いクルマが走っています。車間と速度を常に検知しているプロパイロット2.0から“提案”が出ました。要は「前のクルマの速度が遅いので追い越しますか?」という内容です。ここからステアリングに手を添えて専用のスイッチを押し“承認”します。すると車両は自動でウインカーを出し車線変更を開始します。車両を追い越した後、同様の操作を行えば元の車線に戻ることができます。

追い越しとか自信がないし、でも前のクルマが遅いのはストレスになる、と言った際には本当に便利な機能と言えます。もちろん後方から追い越し車線を走ってくる車両があればシステムは作動しません。これが前述した360度周辺を見ているという機能の証明でもあります。

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