はじめに

「スーツに見える作業着」というユニークさからネット上などで話題となった、オアシススタイルウェアの「ワークウェアスーツ」(WWS)。すでにリアル店舗での常設販売が始まっていますが、ついにあの伊勢丹にも進出を果たしました。

出店したのは、ハイブランドが並ぶ紳士服売り場。上下で10万円以上のスーツもそろえる百貨店が、作業服として作られた約3万円のWWSを売る狙いはどこにあるのでしょうか。6月から常設コーナーを置く、伊勢丹浦和店を取材しました。


老舗ブランドに並んで販売されていた

伊勢丹浦和店5階の紳士服コーナーは、オンワードホールディングスの「五大陸」、レナウンの「ダーバン」など国内の老舗アパレルブランドが数多く入っています。

その一角、エスカレーター乗り場近くの目立つところにWWSのコーナーがありました。普段は紳士服コーナーの別の場所で販売していますが、10月1日までの期間限定で、特設コーナーに置かれています。

作業服として作られたWWSのスーツの特徴は、高い機能性です。吸汗速乾、ウォッシャブル、撥水などの加工をした生地を使っています。

究極の出張コート
秋冬に向けて発売した「究極の出張コート」

価格はジャケットが1万6,000円(税別、以下同)、パンツが1万2,000円。9月に発売した「究極の出張コート」(1万9,800円)は、シワになりにくい生地を使い、重さは450グラム。軽さと持ち歩きのしやすさを売りにします。ネーミングの通り、移動の多い出張でも役立ちそうです。

「百貨店への固定観念を捨てたい」

百貨店でWWSを販売することは、どのような狙いがあるのでしょうか。

伊勢丹浦和店で紳士服コーナーを担当する、関川清貴アシスタントセールスマネージャーは「紳士服コーナーは富裕層の来店が多く、購入するブランドがいつも同じになる傾向があります。『スーツはウール100%』という固定観念を捨てた提案をして、違う商品にも目を向けてもらいたかった」と、WWSに注目したきっかけを説明します。

百貨店の来店客の年齢層が上がる中で、若い世代の顧客を増やしたいという狙いもあります。クールビズやビジネスカジュアルの定着で、ビジネススーツの販売は伸び悩み、新しい戦略が求められています。

「普段は、新聞の折り込みチラシを見て、来店する方が多いのですが、WWSのコーナーにはSNSなどウェブで情報を見て来る人がほとんど。これまでと違う層が来た、という手応えを感じています」(関川さん)

WWSの売り上げは「まだ発展途上」といいますが、「伸びしろは十分にある」と期待しています。三越伊勢丹は、常設の浦和店のほかにも伊勢丹立川店、仙台三越、高松三越など全国6店舗でWWSを期間限定で販売します。