はじめに

9月に行われた内閣改造で、環境大臣として初入閣を果たした小泉進次郎氏。その小泉大臣も出席した国連の気候行動サミットで大きな注目を集めたのが、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんでした。若者を代表して演説した彼女は「私たちを裏切る道を選べば許さない」と、強い口調で地球温暖化対策を訴えました。

実際のところ、自然災害による甚大な被害が世界的にも深刻になっています。この大きな原因とされているのが地球温暖化です。海水の温度が上昇したことで、強大な台風が発生しやすくなったという分析もあります。

こうした流れは、金融市場でも関心が高まりつつあります。近年の株式市場では、環境問題に関して意識が高い企業の株式パフォーマンスが好調である、とみる投資家が少なくありません。そして、まずは企業側の姿勢を測る第一歩として、環境情報を開示する企業の株価が高くなるとの見方もあります。


東証1部企業の4分の1が排出量を開示

国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告では、このまま地球温暖化が進むと、今世紀末に地球の平均気温が最大で約4.8度上昇すると予測しています。

この地球温暖化の原因の多くは、人間が活動することにより排出される「温室効果ガス」の増加とされています。温室効果ガスにはメタンなどさまざまなものがありますが、その4分の3を二酸化炭素が占めています。

こうした中、地球温暖化対策の国際的な取り組みが行われています。2015年にパリで開催されていたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)には、150ヵ国もの首脳たちが集まり、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」を採択しました。

これを受けたわが国の削減目標は、2020年度が2005 年度比で3.8%減、そして2030年度には同25.4%の削減としています。また、今年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」も閣議決定されました。政府が温室効果ガスの削減の中でのわが国の成長の方向を示したものです。

このような政策面での取り組みが進む中、それぞれの会社にも温室効果ガスの削減に向けた努力が求められています。そして、その努力に向けた会社側の情報開示が求められるようになっています。実際に、東証1部の4分の1程度の会社が温室効果ガス排出量を開示するようになりました。

非公表企業のほうがパフォーマンス良好

この情報を基に毎年1回、8月末時点で東証1部の会社を対象に温室効果ガスの排出量を「公表している会社」と「公表していない会社」に分け、その後1年間の株式の平均収益率を分析してみました。ここでは、足元から過去5年間について、さらに平均してあります。

しかし結果は、事前に予想したものと異なりました。「公表している会社」の平均株式収益率は5年間で8%となり、「公表していない会社」の10%を下回ってしまいました。

原因はさまざまですが、業種の偏りも原因の1つです。製造業を考えてみましょう。工場の稼働には燃料を燃やしたりします。そうすると、二酸化炭素の排出が多くなります。

非製造業でも物流や店舗運営などでエネルギーを使うため、二酸化炭素を排出しています。工場の稼働ほどではないケースもあれば、逆に温室効果ガスの排出への意識が低いケースも起こりえます。

会社の規模の問題もあります。大企業は開示に向けた社内のシステム構築などの余裕がありますが、中小以下の規模の会社ではそこまでの余裕がないケースがほとんどでしょう。

<写真:ロイター/アフロ>