はじめに

盗難が多く、多額の現金を持ち歩くのは不安

こちらも少し奇妙に聞こえる理由かもしれません。スリやひったくりなどの盗難が多いなら、現金を持ち歩くよりキャッシュレスのほうが安全と考えるのもうなずけます。

ただ、日本に比べて盗難の頻度が高いイタリアでは、高額な現金はもちろん、それに準ずるものも持ち歩きたくないのが正直なところ。大きな買い物をする時以外は、カードを自宅に保管している人も少なくありません。

先程も紹介した欧州中央銀行の調査によると、イタリア人が財布に入れているお金の平均は69ユーロ(約8,280円)なのだとか。普段からあまり大きなお金を持ち歩かない習慣が定着しているのです。

QRコード決済やクレジットカードのキャッシュレス事業者は、安心・安全であることを謳っており、万一の際の補償についても言及されています。ただ、それでも審査があり確実にお金が返ってくる保証がないことや、盗難の度にカードを止めて再発行する手間がかかることを考えると、お金やカード自体を持ち歩かないことが最大の防犯という結論に落ち着くのです。

こんな感じで日本に比べるとまだまだキャッシュレス後進国のイタリア。ただ、最近ではサティスペイ(Satispay)というサービスが登場するなど、QRコード決済は少しずつ認知されるようになってきました。

こうした流れが加速すれば、いずれ日本のQRコード決済がそのままヨーロッパでも使えるようになる時代がくるかもしれません。空港でユーロに両替する必要もなく、使いきれるかどうかを心配する必要もない。そうなれば、海外旅行ももっと気軽なものになると思うのです。

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