はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、もらい火による火災被害にあい、貯蓄を使い果たしたという29歳の男性。火災被害にあった時にすべきこととは何でしょうか? FPの長尾義弘氏がお答えします。

現在、賃貸マンションで一人暮らしをしていますが、もらい火による火災によって持ち物を消失しました。こちらの過失はありません。所得税の控除など、何かやった方が良いことはありますか? 火災保険で180万円程が支払われる予定ですが、損失額は不明です。おそらく200~300万円程度だと思います。

<相談者プロフィール>
・男性、29歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸(一人暮らし)
・毎月の世帯の手取り金額:25万円
・年間の手取りボーナス額:80万円
・毎月の世帯の支出目安:23万円

【支出の内訳】
・住居費:6万円
・食費:5万円
・水道光熱費:1万円
・教育費:なし
・保険料:なし
・通信費:1万円
・車両費:なし
・お小遣い:4万円
・奨学金返済:6万円

【資産状況】
・毎月の貯蓄額:2万円
・現在の貯蓄総額:0円(火災後の生活の立て直しのため)
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:700万円(奨学金)

長尾: 火災にあわれたとのこと、大変でしたね。突然の出来事で、ご心労はいかばかりかと拝察いたします。

「失火責任法」で、火元の責任を問うことはできない

もらい火ということで、災難でしたね。じつは、隣の家が火災で自宅が火事になったという「もらい火」の場合でも、「失火責任法」という法律があり、火元である家主に対して、損害賠償や補償を請求することはできません。

この失火責任法という法律ができたのは明治時代。当時は木造家屋が密集していたため、一度火災が起こってしまうと、被害がとても大きくなってしまいました。そのため火元である個人に対しての賠償責任が大きくなりすぎるということがあり、この法律ができました。

もちろん、重過失や故意による失火の場合には、失火責任法の適用外になり賠償責任が生じます。重過失にあたる判例には、「天ぷらを揚げていて、その場を離れてしまった」とか「寝たばこ」があります。

とはいっても基本的には、失火責任法があるので、個人個人が、火災保険に入って備えておく必要があります。

火元である家主が火災保険に入っていて、「失火見舞用保険金」「類焼損害補償特約」などの特約に入っていると、被害にあった第三者が保険金を受け取ることができます。失火見舞用保険金は、1世帯あたり30万円ぐらい。類焼損害補償特約は、火災保険などで修復できない不足分を保険金として支払います。

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