はじめに

餃子リニューアルに託すV字回復

いつも強気な高橋均社長も、17期連続の増収増益の達成が微妙であることは正直に認めています。

取引所の規定では、予想数値に対し、売上高で上下1割、利益は上下3割の変動がなければ業績修正を発表する必要がありませんので、修正の義務が発生するほどではないけれど、達成がだいぶ難しいと考えているというのが本音なのでしょう。 

そこへ加えて、消費増税です。何もしなければ、客足はさらに減ってしまいます。そこで打ち出したのが、餃子のリニューアルというわけでした。

日高屋店舗
餃子のキャンペーン告知が飾られた日高屋の店舗

毎月公表している月次実績では、消費増税前の9月の実績は前年同月比で102%とやや盛り返しましたが、このペースでは通期計画の達成はできません。餃子のリニューアル効果が見えるのは10月からですから、11月7日辺りに公表される10月の月次がどうなるかが注目されます。

ちゃんぽんにパスタ、餃子専門店も

業績低迷からの脱却を狙う施策は、餃子のリニューアルだけではありません。すでに日高屋の店舗は飽和状態にあり、出店候補地として好条件の案件を持ち込まれても、近隣の店舗とカニバらないようにするため、見送らざるを得ないケースが増えているのだそうです。

そこで検討を進めているのが、業態の拡大。まずは、かなり以前から表名していた、ちゃんぽん専門店への進出を年内には実現したい考えです。ハイデイ日高は自前の麺工場を持っていますから、これは隣接事業といえるでしょう。

餃子専門店の展開も準備中で、こちらは来年度内の出店を目指します。餃子は日高屋の看板商品ですから、これも隣接事業です。

実はパスタ専門店への進出も狙っています。すでに麺はほぼ完成していて、あとはソースとおつまみの開発なのだそうです。

会社側は、若い女性など既存の顧客層とは異なる層の取り込みを狙っているとのこと。麺つながりという点では隣接事業といえますが、客層があまりにも違いますので、少々無謀な気がします。

狙うべきターゲットはむしろ…

筆者はむしろ現有の主要顧客層、つまり中高年のおじさんたちをターゲットにしたほうが良いのではないかと考えています。昔懐かしい喫茶店のナポリタンに限らず、パスタ好きなおじさんは少なくありません。 しかし、若い女性だらけのパスタ専門店はそもそも入りにくいはずです。

フォークにくるくる巻きつけて食べるのがまどろっこしい、かといって蕎麦のようにすすって食べると思い切り顰蹙(ひんしゅく)を買って肩身の狭い思いをする、などなど……。おじさんにとって、パスタ専門店は決して入りやすい業態ではないでしょうか。

もしも、気取らず「お箸でソバ食い大歓迎」にしてくれて、しかも値段は日高屋プライスだったら、とても喜ばれるのではないかと思うのです。

日高屋のブランドコンセプトがあいまいにならないように、新業態は日高屋とは別の屋号を付ける予定だといいます。日高屋には信者と言っても過言ではないファンがいます。彼らを失望させることなく多角化を図れたら、業績のV字回復も視野に入ってくるのではないでしょうか。

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