はじめに
先週、「手取り14万円」というハッシュタグがtwitter上でバズりました。都内で10年以上働き、役職にもついている女性による、「手取りはわずか14万円で、何も贅沢ができず、日本は終わっていませんか?」というコメントに対して、日本の格差拡大を嘆くコメントや、自分で選んだ職場なのだから、文句があれば辞めればいいといった、批判的なコメントなど、さまざまな角度から意見が寄せられていました。
今回は日本の格差拡大の実態をデータで確認しつつ、本連載のタイトルでもある「お金の育て方」について、今後どうすべきか書いていきたいと思います。
本当に格差は拡大しているのか?
国税庁が9月に発表した『平成30年分⺠間給与実態統計調査結果』によると、会社員やパートの方が平成30年の1年間に得た給与の平均は440万7千円となり、前年から2.0%増加となりました。
このデータを「役員を除く正社員」と、「非正規社員」に分けてみると、正社員の平均給与は503万5千円、⾮正規社員は179万円となっています。つまり、その差は324万5千円にも及びます。
総務省統計局が発表した『労働力調査』によれば、平成30年平均の「役員を除く雇用者」は5,569万人となっていますが、「正規の職員・従業員」は3,476万人、「非正規の職員・従業員」は2,120万人となっています。つまり、約37.9%の雇用者は非正規になります。
データで見ると、明らかに正社員と非正規社員の間には所得格差がありますし、非正規社員が3人に1人以上いるので、所得格差を嘆くようなコメントを頻繁に目にすることも不思議ではありません。
前述の資料で遡れるところまでデータを見返すと、平成24年は正社員の平均給与が467万6000円で、非正規社員は168万円。その差は299万6000円となり、平成30年のデータと比べると、たしかに格差が拡大しているようにみえます。また、同年の非正規雇用の比率は35.2%と、こちらは平成30年のデータよりは少ない数字です。
つまり、この7年間で非正規社員の割合が増え、同時に正社員と非正規社員の所得格差が拡大したといえます。
消費増税後も格差が拡大
10月1日に消費税が予定通り8%から10%に引き上げられましたが、今回は軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元など、これまでの消費増税時にはみられなかったさまざまな制度やキャンペーンが用意されています。実は、この制度をどれだけ把握しているかによっても、更に格差が拡大していくと筆者は考えています。
買い物、つまり消費活動というのは習慣ですから、消費増税に伴う制度やキャンペーンがあったとしても、ずっと現金で買い物をしてきた人からすると、面倒だからこのまま現金でいいや、となるかもしれません。
しかし、クレジットカード、交通系ICカード、Pay系のサービスをうまく活用していくと、消費増税前に購入するよりも安く買えたり、場合によっては20%以上の還元率を実現することも可能になります。
前述の正社員と非正規社員の話は、住んでいる場所や学歴・職歴、家庭環境など、現時点の条件を踏まえると急な変化は難しいかもしれませんが、制度やキャンペーンの活用は誰でもすぐに実行できます。
なかには、こういう工夫はセコいと思う人もいるかもしれませんが、少しの工夫だけでモノを安く買えるので、毎日継続すると、中長期でみればお金を育てることになります。