はじめに

ドル建の積立利率変動型終身保険とは?しっかり考える

ご加入されているドル建の積立利率変動型終身保険は、毎月1.5万円を24歳から積立てて、40年後の65歳になるときに122%増えていると考えると、以下のようになります。

元本:1.5万円×12ヵ月×40年=720万円、122%増えた場合:約878万円

ゼロ金利時代ですから、銀行貯金に入れているよりは有利ということで、外貨建ての積立利率変動型終身保険を選ばれる方がいらっしゃいます。

この保険を勧める営業マンの営業トークは、「金利0.01%の銀行預金に預けていても増えないので、“積立利率3%や5%が期待できる”ドル建の積立利率変動型終身保険に入りませんか?」というものです。

この「積立利率」について、銀行の金利と同じように捉えている方も多いのですが、支払っている保険料の一部が運用にまわっているということなので、積立利率は実際の保険料をベースにした金利とはまったく別物となりますので注意が必要です。

40年間積立てた元本が122%増える場合、平均利回りでみると実態は0.9%くらいで運用されていることになります。加入の際に想定していた利回りと比べてみてはいかがでしょうか?

また、ドル建の積立利率変動型終身保険のデメリットを考えると、途中解約すると解約返戻金が元本割れしてしまうことや、長期間お金が使えなくなり流動性が悪いということがあります。

さらに、40年という長期で運用に回した場合の資産増加の期待値と比べて、圧倒的に増加額が小さく、機会損失になる可能性があるのです。

老後の資産形成を考えるなら、圧倒的にiDeCoが有利

老後の資産形成を考えるのであれば、手続き中のiDeCo(個人型確定拠出年金)の方が、掛け金が全額所得控除の対象になり有利です。

1.5万円を仮に積立てた場合は、年間18万円が全額所得控除になります。仮に額面年収320万円の独身の方で26歳会社員の場合、1年間で2.7万円ほどの節税になります。

来年からiDeCoを始められた場合、60歳までの33年間控除となり、職業や年収などの諸条件が変わらなかった場合は、2.7万円×33年=89.1万円、節税効果が期待できます。

また、期待値3%の複利運用がでできた場合は、元本594万円に対して、417万円利益が期待できます。

仮に、iDeCoを来年から始めて60歳まで利回り3%で運用できたとした場合、ドル建の積立利率変動型終身保険(65歳まで積立、122%増加)と比べると、iDeCoの方が積立期間も短く、以下のとおり利益も圧倒的に大きいことがわかります。

iDeCoを60歳まで利回り3%で運用できた場合の利益:

417万円(期待利益)+89.1万円(節税分)=506.1万円

ドル建の積立利率変動型終身保険による利益:

720万円(65歳まで積立てた元本)-878万円(122%増加分)=158万円

この差が機会損失ということになります。

元本割れをしても解約をすすめる理由

そしてご懸念の為替リスクについてですが、確かに外貨建ての金融商品を持つ場合は、円高に振れた場合に損失が出ることがあります。

そもそも、増え方が小さいドル建の積立利率変動型終身保険は、仮に運用で利益がでても為替が円高に振れていると利益が少なくなったり、場合によっては損失が出ることがあります。

また、仮にご相談者様に万が一のことがあった場合でも、ご自身の身辺整理用のお金は十分にあることからも死亡保険金は必要ないのではと思います。

いま、積立利率変動型終身保険を解約すると、解約返戻金が少なく元本割れをしてしまうかと思いますが、今後の機会損失の差が大きくなることを考えると解約をおすすめします。

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