はじめに

実は女性版トランプ?

「ウォーレン氏に好意的」とされる「ニューヨークタイムズ」や「ワシントンポスト」といえば、いずれもドナルド・トランプ大統領から「フェイクニュースを垂れ流している」などと敵視されているメディアです。

それだけに、ウォーレン氏の主張はトランプ大統領と相反するものと思われがちですが、実は重なる点も少なくありません。「両者はともに保護貿易主義者」と説明するのは、国内証券のエコノミストです。

トランプ大統領が2017年に米国の離脱を決めた環太平洋パートナシップ協定(TPP)には、ウォーレン氏も反対の立場。「TPPは米国の主権を侵害し、不公平な形で多国籍企業に利益をもたらす」という考えです。「米国は関税を含むすべての貿易政策を見直すべき」との前提で、為替操作などを通じた積極的なドル管理も提唱しています。

ドルの下落を通じて米国企業の競争力を維持しようという発想は、ドル安誘導の可能性をちらつかせるトランプ大統領のスタンスに似通っています。マーケットの関係者からは「ウォーレン氏の掲げる“経済愛国主義”は、トランプ大統領の“米国第一主義”とオーバーラップする面がある」との声も上がります。

「“反中国”という立場では一致している」。前出のニューヨーク在住の専門家はこう指摘します。

市場関係者が過敏に反応する理由

ウォール街に対するウォーレン氏の姿勢をめぐっては、1933年に就任し、世界恐慌後の金融システムの立て直しに取り組んだ当時のフランクリン・ルーズベルト大統領を想起させる、との見方があります。

同元大統領はグラス・スティーガル法の制定を通じて、銀行が過度なリスクを取れないようにしました。証券取引委員会(SEC)も設立し、マーケットの管理を強化。こうした一連の改革が奏功し、失われた金融システムの信頼回復につながった、ともいわれています。

「ウォール街は(同じく有力候補者の)バーニー・サンダース氏と同様、“社会主義者”と見なしているが、それは違う」(米メディア)。ウォーレン氏のアイデアがルーズベルト元大統領の政策をお手本にしているのであれば、「ウォール街が過剰反応している」とみることもできそうです。

もっとも、民主党の候補者が決まるのは2020年7月。まだ、9ヵ月先のことです。「ウォーレン・リスク」を市場が織り込むには、いささか早すぎる感もあります。にもかかわらず、懸念がくすぶるのは、相場全体に高値警戒感が強まっていることの表れなのかもしれません。

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