健康への影響が少ないというのは本当か

新型タバコのホームページを見ると、煙が出ないことや、有害物質が軽減されていることが書かれ、クリーンな製品であるイメージが強調されています。しかし、健康への影響が減るとはいっさい書かれていません。

たとえばアイコスのホームページをよく見ると、「喫煙は肺がんの原因の一つ」「心筋梗塞・脳卒中の危険性や肺気腫を悪化させる危険性を高めます」などと、健康へのリスクを明確に認めています。グローやプルーム・テックでも同様で、プルーム・テックのホームページでは「プルーム・テックの使用は健康へのリスクを伴います」としています。

これまでの研究で、紙たばこから出る煙には、ニコチンや一酸化炭素、ベンゼン、ホルムアルデヒトなど70種類以上の発がん性のある物質が含まれ、肺がんや慢性閉そく性肺疾患(COPD)、心筋梗塞など、さまざまな疾患を引き起こすことがわかっています。

一方で、紙たばこと加熱式たばこを比較すると、ベンゼンや一酸化炭素などの有害物質は確かに少ないものの、ホルムアルデヒトやニコチンなどはそれほど減っておらず、逆に増えている有害物質もあることが、研究から明らかになっています。

さらに、たばこが吸いにくい環境でも使用できる加熱式たばこは、より強固なニコチン依存症を引き起こす可能性もあるといいます。

日本は新型たばこの実験場?

「有害物質を出している以上、がんや循環器疾患になるリスクはあるし、周りに迷惑をかける受動喫煙の被害もあります。さらに、未知のリスクもあると考えられ、健康へのリスクが低いとはまったく言えません」と田淵医師は話します。

日本で特徴的なのは、新型たばこの中でも加熱式たばこの普及率が非常に高いこと。というのも、アイコスはフィリップモリスが世界に先駆けて日本で販売を開始。2016年にはJTがプルーム・テックを、ブリティッシュ・アメリカン・タバコがグローの販売を始めたからです。

その結果、2016年10月時点で、アイコスの販売世界シェアの96%を日本が占める状況になりました。現在では世界30ヵ国以上で販売されていますが、田淵医師は「たばこに寛容、ガジェット好き、空気を読むなど、日本人の国民性がマーケティングに利用された結果、アイコスは日本で大成功し、世界の実験場になった」と語ります。

田淵医師らの最新の研究によると、2018年には男性の14.5%、女性の4.7%、全体の9.7%の人がなんらかの新型たばこを使用。20代の使用率が16.9%と特に高かったといいます。さらに、その半数以上は紙たばこも併用していることがわかりました。

新型たばこの健康リスクにどう向き合うか

この調査では、加熱式たばこを使用した理由も聞いています。最も多かったのは、「他のたばこよりも害が少ないと思ったから」(60.6%)。続いて「たばこの煙で他人に迷惑をかけるのを避けるため」(58.8%)、「友人・知人が使っている(いた)から」(55.2%)でした。

電子たばこについても同様の理由が多く、自分や他人のへの害に配慮した結果、新型たばこを選ぶ人が多いことがわかりました。

しかし、田淵医師は「私は、これまでの科学的知見に基づき新型たばこは紙たばこと同じくらい有害なのではないかと予想しています。新型たばこがこれだけ日本で広まってしまった今、どう対応すべきかを模索しないといけません」と警告します。

日本人の死因のうち、最も多い原因はたばこだというデータもあります。自分自身や周りの人が「これなら大丈夫」と思って新型たばこを吸っているのであれば、一度そのリスクとよく向き合ってみる必要がありそうです。