はじめに
5万バーツは高いか安いか
さて、タイ現地採用は、タイ政府によって最低給与が定められています。その額は、月5万バーツ(約17万5,000円)。これを、なかなかいいと思うか、安いと思うか。
例えばタイ名物の屋台で、日本でも人気のカオマンガイやガパオごはんを食べたとすると、50バーツ(約177円)ほど。首都バンコクを走るBTSという高架鉄道は初乗り16バーツ(約56円)。そのBTS駅から徒歩圏内のワンルームマンションは、安いところだと5000~7000バーツ(約17,700円~24,700円)くらいでしょうか。
物価の差があるぶん、5万バーツというのは、けっこう使い出があるのです。日本で17万円の収入というとちょっと厳しさを感じますが、タイで5万バーツならかなり裕福な部類に入るでしょう。バンコクの一般職の事務で1万5000~2万バーツ(約5万2,500円~7万円)なので、その倍以上を得て生活することになります。
一方で、タイは日本以上の格差社会でもあります。
5万バーツをはるかに越えて稼ぐタイ人はどんどん増えています。彼らは299バーツ(約1,046円)の和食やイタリアンのランチをごく当たり前に食べ、100万バーツ(約350万円)以上する新車を乗り回し、楽しみは日本に旅行へ行くこと。
そして同じ在住日本人でも、駐在員ははるかにリッチな暮らしをしています。ワンルームどころか宮殿のような高級マンションに住み、企業によっては運転手つきの社用車も用意してくれる。そして当たり前ですが給与は日本基準、加えて手厚い海外赴任手当てが加算され、駐在している間にひと財産つくる人も多いのです。昨今どんどん増えている中小企業の場合はそこまでの待遇でもないのですが、だとしても現地採用よりはずっといい。
上を見ると、どうしても悔しさやコンプレックスを感じてしまう。それはタイ現地採用の現実です。