はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する深野康彦氏がお答えします。
夫はいわゆる「宵越しの銭は持たない」タイプで、結婚前からほとんど貯蓄はありませんでした。結婚して10年ほど経ちますが、性格は変わらず、月々の生活費は渡してくれるものの、老後の貯蓄はもちろん、子供の教育費についても貯めておらず、私が言っても「なんとかなるさ」とあっけらかんとしています。先日も、「知り合いの車屋が安く譲ってくれた」と、突然車を購入してきて、ケンカになったところです。
生活費を渡してくれるとはいえ、私のパート給与を含めてもギリギリの金額で、貯蓄できるほどのものではありません。結婚当初は指摘していましたが、口うるさく言う私と、危機感のない夫の認識には大きな隔たりがあり、逆に自己嫌悪に陥る始末です。なんとか夫を貯蓄に向けさせるような方法はないでしょうか。もしくは自分が変わったほうがよいのでしょうか。ぜひご意見をお聞かせください。
【1】現在の収入と支出金額(基本的な生活費)
・夫の収入は給与明細を見せてくれないので把握していません。恐らくは平均的な給与だと思います。
・生活費として月15万円を貰い、私のパート代5万円を含め、20万円程度で生活しています。
・賃貸の住宅家賃や突発的な支出などは夫が負担してくれています。
【2】今後の収入と予測される特別な支出
・夫は会社員ですので、給与は人並みに上昇するものだと思っています。
・私はもっと働きたいと思うもの子育てがあり、パートで手一杯です。
【3】保有する金融資産、負債
・ちゃんとした金融資産はありません。あっても100万円程度だと思います。
・借金は車のローンくらいです。
【4】保険契約の有無
・夫のみ、月々5,000円の生命保険に加入しています。
(女性 30代後半 既婚・子供1人)
深野: ご主人が家計や貯蓄に関して非協力的というのは非常に悩ましい問題ですね。
どうやって貯蓄に協力してもらうか
ご主人に貯蓄に協力してもらう方法についてのご質問ですが、まずご質問者の方が変わる必要はないでしょう。もちろん、妥協できる部分において妥協する必要はありますが、基本的にはご主人のお金に対する考え方を変えてもらうための努力をすべきです。
ご主人のご年齢、これまで育ってきた環境などを推測すれば、ご主人はこれまでお金に困ったことはないのではないでしょうか。
あるいは、お金に関してはご主人の両親がすべてやってくださっていたので、自分がする必要はないと思っているのかもしれません。このようなお金に対するスタンスは、親の庇護の元でいるとき、言い換えれば学生であるときのみに限られます。
社会人で、ましてや結婚されていて、お子さんもいらっしゃるのですから、ご質問者である奥様と協力し、人生のさまざまなライフイベントに対処していく必要があるのです。
「宵越しの銭は持たないタイプ」とはいえ、幸いにして多額のローンを抱えているような方ではないので、その部分で少しは安心できます。車を突然買ったことは決して褒められる行動ではありませんが、借金してあれもこれもと買われてしまったら、家計は火の車になります。
これからの人生、どれくらいのお金が必要?
では今後、貯蓄を行うために、どうやってご主人に変わってもらうかですが、子供の教育費、住宅の購入、老後などのライフイベントにはどれくらいのお金が必要となるのかを具体的な金額で示してあげることです。
老後は遠い将来であるため、漠然としかイメージがわかないでしょうから、まずはお子さんの教育費あたりのお話からされてはいかかでしょうか。ご主人がお子さんにどんな教育を受けさせたいのかを聞いてみましょう。
例えば、中学校あたりから私立へ行かせたいと考えているのであれば、それ相応のお金がかかります。そのためには早いうちから準備が必要だということを知らしめる。あるいはマイホームの購入なども考えられているのであれば、やはり頭金の準備を早いうちから行うべきなどと伝えることが肝心です。
これからの生活にどれくらいのお金が必要となるのか。いくら準備しなければならないのかを具体的な数字に示されたうえで話しあってみてはいかがでしょうか。
ご主人のお金に対する考え方が、一夜にして真逆になることはありませんが、時間をかけて少しずつ変えていかれるように努力してみてください。難しいかもしれませんが、根気強く取り組むことが重要です。