はじめに

それでもドイツが慎重姿勢の理由

ドイツの経済が変調をきたす中で、金融市場では同国の財政出動観測が日増しに強まりつつあります。これに対してメルケル首相は今のところ、慎重姿勢を崩していません。

財政の健全化を重んじるドイツ。同国の憲法に相当する連邦基本法では、連邦政府や州政府の財政を原則として均衡化することが定められています。ドイツが財政出動を拒む背景には、かつて経験したすさまじいまでの物価高騰、いわゆる「ハイパーインフレ」による経済の混乱がナチスドイツの台頭を許した苦い記憶があるからだとされています。

それでも、欧州の他国からはドイツに財政面での刺激策を求める声が上がっています。ドイツのGDPは今やEUの2割を超えており、同国経済の低迷が長期化すれば欧州全体への悪影響が避けられそうにないからです。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は英国の「エコノミスト」誌のインタビューで、財政赤字をGDPの3%以内に抑えるよう求めているEUの財政規則について「別世紀の話し」などと主張。「われわれにはさらなる拡張政策や投資の拡大が必要だ」とも語り、「財政出動をめぐる議論に耳を貸さないドイツ」(フランスのメディア)にくぎを刺しました。

外国為替市場のユーロ・ドル相場は11月に入って一時、ユーロ売りが先行。下値のフシとされる1ユーロ=1.10ドルの水準を割り込む場面がありました。ユーロ圏の景気停滞などが売り材料になった面があります。その後はユーロがやや持ち直す展開です。

外為市場のウォッチャーは「ドイツが財政出動へ舵を切れば、ユーロには“ポジティブ・サプライズ”と受け止められて、買いが膨らむだろう」と話しています。 

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