はじめに

現在のタワーマンションに一生住み続けるのか?

既にローンも完済しており、固定資産税や管理費・修繕費のみの支払いとなっています。しかし、ご相談者が懸念しているように、タワーマンションの場合、管理費・修繕費の額も高額となります。また、お部屋が高層階の場合には、高齢になった際に外出等が負担となる場合もあります。

エリアにもよりますが、将来的に売却や貸すという選択肢もあります。ご自身のライフスタイルの変化に合わせて、より効果的な選択肢を選ぶことができるように準備をしておくと良いでしょう。

万が一の際の保障は十分かどうか?

作成したシミュレーションは、“健康で今の収入が継続する”前提となっています。しっかりとお仕事をされて収入があっての貯蓄なので、もし大きい病気などで収入が下がってしまった場合、シミュレーション通りにはいきません。そのための保障も最低限必要となります。

ご相談者の場合は、既にそれなりの金融資産があるので、何かあったときの治療費や生活費などはある程度は手元から出せます。ただ、ガンなどの大きな病気や事故などで介護状態になってしまうなど、継続的に収入が下がってしまうような場合、現在の貯蓄を取り崩すことによって、将来への準備が不十分になってしまうリスクもあります。保険料と貯蓄のバランスを考えながら、3大疾病と呼ばれる、「ガン・急性心筋梗塞・脳卒中」や介護に備えておくと、より安心でしょう。

老後に向けての効果的な資産形成

ご相談者の場合は、年間の貯蓄額も多く、もし順調にこのペースで貯めることができれば、そこまで大きなリスクを負って運用をしなくても、老後の準備はできそうです。

しかし、長期的な視野で見た時のインフレリスクによるお金の価値の目減りや、税制的な効果を考えると、バランスよく資産運用を組み入れるのも重要となります。

ご相談者のお勤め先は、企業型確定拠出年金を導入しているようです。規約によっては、企業が拠出する掛金に加えて、加入者本人が上乗せして拠出することができる「マッチング拠出」や、個人型確定拠出年金であるiDeCoとの併用を認めている企業もあります。ただし、マッチング拠出を採用している企業の場合は、iDeCoとの併用はできないので、注意が必要です。

60歳以降にならないと受け取れないという縛りはありますが、目的が老後の資金準備であれば、税制面のメリットを受けながら運用することができます。60歳より前に使う可能性がある資金については、つみたてNISAを利用するなど、目的に合わせて使い分けるのが効果的です。

将来に対しての不安がある場合は、このように一定の見通しを立てた上でシミュレーションを行うことで、不安が取り除かれ、より適切な準備をすることができます。不安なままで放置せず、ゆっくりと整理する時間を取りましょう。そうすれば、安心して普段の生活を楽しむことができるはずです。

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