はじめに

F字動線に要注意

もうひとつは、モノを見るうえで、目線というものがありますが、その裏をかいていることもあるでしょう。よくいわれるのが、ネット上では、F字型に目線が動くといわれます。サイトをみる際、まず目に入ってくるのは、画面の上部にある大きな見出しです。その見出しを左から右に読んでいき、興味を持てば、左上から下に目線を移して、興味がある文章があれば、その文章を左から右に読んでいきます。

それを繰り返します。つまり、サイト利用者の視線は無意識にF字型で動く傾向があるわけです。見やすいサイトはこのような作りになっているといわれます。逆にいえば、視線が移動するF字の動線に乗せなければ、人は気づかないことになります。悪徳業者はこうした閲覧者の動きが分かった上での騙しの罠を仕掛けているのではと、思うことがあります。

動揺を誘う卑劣な業者

以前に、テレビ番組で、私が横でサポートして、役者さんに怪しいアダルトサイトにアクセスしてもらいました。サイトのからくりについては、何も教えずに本人に任せる形で撮影を進めます。役者さんは、まず画面に大きく書かれている、いやらしいエッチなタイトルに目をつけて、「人妻の○○が○○して~」(仮)と、声に出して読みます。その下に再生ボタンのついた動画サイトを指さして「これをクリックしてみましょうか」と言うので、私は静かに頷きます。そしてクリックすると、突然、画面上に「年間使用料金、20万円を払うように」という請求画面が出ます。

それを見て慌てた役者さんは、業者に電話をします。

「すみません。いきなり、お金を払ってくださいという画面が出てきたのですが」というと、業者の男は、「画面には、規約が書いてあったでしょう。それを見なかったのですか?」と尋ねます。
「いいえ、書いてありませんでしたよ」
「いいえ、書いてありました」
「それでは、再生前の元の画面に戻って下さい」と言います。

料金が表示された画面のあるボタンを押すと再生前の画面に戻りました。役者さんはサイトの画面をみながら、「どこにも書いてありませんよ」と言います。
「いいえ、書いてあります」
「どこにですか!」語気を強めます。
「再生画面の上に、大きなタイトルがありますよね」
「ええ」
「はい、その上になんと書いてありますか?」
上にスクロールすると、なんとタイトルの上に「再生ボタンを押したら、年間利用料金として、20万円の料金が発生する」といった文言が書かれています。

一気に、役者さんは動揺します。
「すみません。見ていませんで」「それは、見落としたあなたが悪いんでしょう」と、一気に攻めたてられます。こうして「見落としたあなたが悪い」と言われて、お金を払わされる人は実に多いのです。ですが、私が横にいるので、お金は払わせません。契約とは双方の同意があって、成立するものですから、だまし討ちをするような表記でお金を払う必要はないことを伝えて、最終的に「架空の請求である」ことを攻め立ててもらい、嘘を暴き、相手に電話を切らせるようにしてもらいます。

通販トラブルを回避するために

このようにネットでは、F字の法則のように、下に下にと目が行くようになり、上には、行かないものなのです。まさに、このアダルトサイトは、人の目線の動きを巧みについた騙しといえるでしょう。これは一例ですが、悪徳・詐欺業者は、私たちの目線を微妙に外したところに、大事なことを記載します。その戦略を知ることは、身を守ることにつながります。

ですので、少々面倒でも、すぐに注文のボタンを押さず、間を置き、ゆっくりと上に下にスクロールして、注文内容を確認してください。そして、大きな写真や文字の間に、大事なことを隠すように書いていないかを見てください。私は15秒ルールをお勧めします。「商品がほしい」と思って、すぐに、タップするのではなく、最低、15秒は立ち止まってから、指先を押してください。

この間に、この商品の返品は可、不可なのか。総額はいくらなのか、契約期間は?など、チェックしてください。ネット上にある、すべての業者が善良なところとは限りませんので、一時停止して、慎重に前に進むことが、トラブル回避のためには大事なことなのです。

この記事の感想を教えてください。