はじめに
当面のドル円相場を左右するのは?
米国の重要指標が発表される時は指標が注目されますが、発表が終わってしまうと一気に注目度が低下してしまう昨今。米中通商合意の第1段階が正式に発表されるまで、市場は疑心暗鬼に陥っているようにみえます。
11月分の米雇用統計が発表される直前のドル円相場は1ドル108円台半ば。発表直後は108円90銭近辺まで上昇しましたが、週末に対する警戒感と米中通商交渉の決裂見通しもあって、ドル買いは長続きせず、ニューヨーク市場の引けにかけては再び108円台半ばまで下落しました。
米トランプ政権が中国からの輸入品1,600億ドル分に追加関税を課す12月15日が近づく中、米中合意が12月15日までになされるのは不可能との見方が大勢です。課税が延長になるのか、課税が発動されるのか、当面疑心暗鬼の相場が続くことが予想されます。
以前から申し上げているように、筆者の「米中通商交渉決裂=2020年米大統領選でのドナルド・トランプ大統領は敗北」との見方は変わらず、「米国側の妥協・譲歩で米中通商合意」と予想しています。ツイッターで主導権を握っていることをアピールしているトランプ大統領ですが、本当に主導権を握っているのは中国の習近平・国家主席とみています。
<文:チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄>