はじめに
投資対象としての魅力は配当方針
初値は公募価格の1,600円を上回る1,860円。終値は1,835円で初値を下回りましたが、上場2日目は前日比116円高の1,951円で引けました。予想PER(株価収益率)は15.52倍、実績PBR(株価純資産倍率)は2.93倍ですから、まずまずの水準です。
すでに1,000億円の売上高があり、スタートアップ企業ではありませんから、ここから先、年率2割、3割といった成長は見込めません。その分、利益は安定しています。2020年3月期の業績予想は、売上高が前期比微増の1,104億円、本業の儲けを示す営業利益は同2.3%増の18.2億円、当期純利益は前期のほぼ倍に近い9.4億円です。
注目したいのは配当です。スタートアップ企業の多くは、上場からしばらくは成長を優先するので無配が続きますが、カクヤスは上場初年度からいきなり配当を実施します。しかも配当性向は、今期予想をベースに計算すると38%です。
方針として配当性向30%を目安とするようですが、業績が安定している分、業績連動とはいえ配当も安定しそう。業態を考えると、株主優待にも期待できそうです。
配当よりも魅力的な要素は?
しかし、個人投資家にとって配当以上に魅力的に映るのは「やっていることがわかりやすい」ということかもしれません。スタートアップ企業の多くは、やっていることを一般の個人投資家が理解することが困難な場合が多いので、応援したい会社を探す個人投資家にとってカクヤスは適しています。
コーポレートガバナンスへの関心も高いようで、1月15日には任意の指名報酬委員会を発足させるそうです。
順一社長はプレゼン上手な経営者としても有名で、全国各地で開催される中小企業の経営者向けの講演会などでもひっぱりだこ。地に足のついた経験談の数々は、大いに参考になるといいます。
東京証券取引所は、新規に上場した会社の代表インタビューを自社のホームページに載せています。間もなく順一社長のインタビューも掲載されるはずですので、関心を持った方は一読してみてはいかがでしょうか。