はじめに

VIX先物の売り残高が急減

ただ、「カネ余りに支えられた過剰流動性相場が来年も続く」とみるのは、早計な面もありそうです。気になるのが、VIX先物の投機筋の売り残高急減です。

VIX先物

上のグラフは、米国株で運用する多くの機関投資家がベンチマークにしているS&P500種株価指数とボラティリティ・インデックス(VIX)先物の売り残高について、2017年1月からの推移を示したもの。売り残高は11月の約31万枚をピークに、急減しているのがわかります。

投資家のリスク許容度の変化を反映するVIXは別名、“恐怖指数”。投資家の不安心理が高まり、株式や商品などいわゆる「リスク資産」へ資金を振り向けるのを躊躇する「リスクオフ」の状態に傾くと上昇。逆に、「リスクオン」の状況では低下する傾向があります。

このため、株価とも通常、反対の動きをします。株高局面ではVIXが下落し、株安になると上昇。つまり、売り建てていたVIX先物を買い戻して手仕舞いする動きが活発化しているのは、先高観測が後退して、むしろ高値警戒感が強まっているとも読めるわけです。

実際にグラフを見ると、2017年以降のS&P500種株価指数の下落局面では、VIX先物の売り残高も減少していることがわかります。それだけに、VIX先物の売り残急減は注意信号と受け止める必要があるかもしれません。

ただ、今年11月中旬以降は従来と異なる動きが見られます。売り残高の減少にもかかわらず、株価も上昇。これもまた、カネ余りがもたらした価格形成なのでしょうか。

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