はじめに

個人投資家は2020年相場にどう向き合うべきか

――個人投資家には、どのような戦略が考えられるでしょうか。

2019年はレンジ相場が長く続きましたし、為替もほとんど動かない年でしたが、2020年はより変動に乏しい年になりそうです。こうした相場では日経平均株価やTOPIXに連動する商品を買うインデックス投資では成果を上げにくいので、積極的に利益を狙うなら個別株への投資が必要です。

しかし、レンジ相場では物色の移り変わりも起こりにくくなるので、業績が良く割高感がないものを選ぶオーソドックスな銘柄選別が無難です。2019年は業績さえよければ買われる局面もありましたが、新しい年は割高な銘柄は避けたほうがいいでしょう。

米国の金利も大きく下がったので、高配当株に人気が集まることも考えられますが、どんなに配当利回りが高くても業績のブレが大きい景気敏感株は減配リスクも大きくなります。業績が安定し、景気敏感でない銘柄を選びましょう。

環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素を重視したESG投資の観点も、本格的に意識されてくるでしょう。特に欧州ではESGに対する意識が非常に高く、世界的な流れになりつつあります。

日本でも世界最大規模の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が積極的な姿勢を示しており、金融庁が2020年春に予定するスチュワードシップコードの改定でもESG投資について明示する方針を固めたと報じられています。

ESGの視点を投資に取り入れるには、2つの方法があります。1つは、ESGへの取り組みに優れた会社を選ぶこと。もう1つは、ESGの観点で良くない銘柄を避けることです。

特に後者は重要で、環境負荷の高いビジネスを手がける企業、ガバナンスに不安がある企業、エネルギーや軍事、たばこといったESGに沿わない業種は、機関投資家や外国人投資家のまとまった買いが期待できなくなります。こうした銘柄は今後、業績が良くても割安に放置される傾向がより鮮明になってくると思います。

――最後に、2020年の相場に向き合う個人投資家の心構えについて、アドバイスをお願いします。

もともと個人投資家は利食いを急いでしまう傾向がありますが、今年はその姿勢が吉と出るかもしれません。盛り上がりに欠ける相場では、欲張らないほうが良い結果を出せることが多いでしょう。

現在の状況下では、日本株だけでなく、為替などあらゆる資産クラスの専門家たちが、横ばい相場の予想でほぼ一致しています。マーケットに影響を及ぼすあらゆる要素を考え合わせても、こうした結論しか出ない状況だからです。

しかし歴史を振り返ると、誰もが「動かない」と考える相場でこそ、思わぬ波乱が起きているという皮肉な現実もあります。横ばいだからと油断することなく、十分に警戒しながら臨みたいものです。