はじめに
2020年に求められる投資スタンスは?
――年末に公表された2020年度の税制改正大綱で、NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度変更が盛り込まれていますね。
2024年とまだ先の話ではありますが、一般NISAでこれまで通り個別株に投資するには積み立て投資をする必要があるという2階建ての制度になるようです。仕組みが複雑になり、敬遠されないか、心配しています。個人的にはつみたてNISAで12で割り切れる上限額への改正を期待していましたが、それが盛り込まれなかった点も残念です。
それでも、つみたてNISAはいつ始めても20年間の非課税メリットを享受できますし、iDeCoも、国民年金に加入する人が積み立てできる期間が60歳から65歳に延長されます。長期投資と相性の良いこれらの制度は今後もさらなる制度の改善に期待したいところです。
――2020年はどのような姿勢で投資していくのが良いでしょうか。
投資目的を明確にしたうえで商品を選び、戦略を立てることがより重要になってくると思っています。たとえば、老後の資産形成が目的であれば、短期的なマーケットの変動に一喜一憂することなく、淡々と積み立てを続けていくことが重要です。
一方で、資産を守りながら少しずつ取り崩していきたいリタイア世代であれば、定期売却のような新しいサービスも活用しながら、自分に合った出口戦略を判断していく必要があるでしょう。どのような形で取り崩していくかという選択に加え、どの商品から取り崩していくのか、資産形成期と同じ商品のままで運用を続けてよいのかという議論もあるでしょう。
守ることを重視したいなら、市場の変動をダイレクトに受けるインデックス投信から、前述した下落局面に強い商品に預け変えて、運用と取り崩しを続ける手もあります。投資の目的を再確認し、適した商品選びやサービス活用に役立てたいものです。