はじめに

ホワイト企業の株価パフォーマンスは?

そこで、仮説を変えて分析してみました。「離職率を公表している企業ほど株価が上昇する」です。

東証1部企業を対象に毎年1回、8月末時点で取得できる情報を使って、報告書などを通じて離職率を「公表している」か「公表していない」かで分類します。そして、その後1年間の株式の平均収益率を見ました。表で示した収益率は2010年以降でさらに平均しています。

【東証1部上場企業の離職率の公表企業とその後の平均株式収益率】

公表していない 公表している
1年後 15.7% 21.6%
3年後 64.1% 87.7%

(注)2010年以降、8月末での東証1部企業の離職率を「公表している」か「公表していない」で分類し、その翌月から1年間と3年間の株式収益率の平均をさらに時系列で直近まで平均 (出所)Bloombergのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

分析結果は仮説通りとなりました。「公表している」企業のパフォーマンスは、その1年後、3年後ともに上回っています。企業への投資を考える際に、会社側が一般に公開する資料で「離職率を公表している企業」に注目するのも良いでしょう。

付加的な分析になりますが、数少ないとはいえ、離職率を公表している企業の中で「3年前と比べて離職率が改善した企業」のパフォーマンスも、同じように見てみました。3年後の株価パフォーマンスは、悪化した企業と比べると、平均して4%程度上回っています。

離職率については、定年退職を迎える従業員の数などにも影響があるため、単純に値だけを見るのは難しいともいわれます。しかし、株式市場ではある程度、改善企業を評価する傾向があるようです。

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