はじめに

自動運転による交通渋滞の緩和

また、自動運転化によって、渋滞も緩和するとされています。渋滞の大きな要因となるのが、ブレーキ、つまり「減速」であるとされます。無駄のないブレーキ操作を技術がサポートすることにより、不要な車間を省くことで、渋滞が起きにくくなるとされます。

自動運転車と一般の自動車の混在交通では、あまりその効果は見られないのでは、という意見も聞かれますが、様々な研究やシミュレーションによれば、混在交通でもその効果は期待できるとのことです。

事故が減り、渋滞も減るということは、自動車での移動のインセンティブを大きく高めるものとなるでしょう。

自動運転は環境負荷にも貢献

自動運転により渋滞が緩和され、不要な加減速がなくなることで、無駄なエネルギーの消費も減少します。また、自動運転は電気自動車との親和性が高いので、そうした側面からも環境負荷軽減が期待されています。

ただし、こうしたエネルギーの領域については、自動車の製造過程や利用方法の変化なども含めて総合的に捉える必要があるので、実際の数値としてエビデンスを出すのは複雑であるとの側面も否めません。

むしろ、自動運転によるライドシェアやMaaS(マース:モビリティ・アズ・ア・サービス)と呼ばれる多様な交通機関の連携など、自動車の活用方法の変化による、最適で効率的なモビリティ環境の実現との側面から捉えるほうが明快ともいえるでしょう。

このように、自動運転技術の発展と実用化は私たちの生活を徐々に変えつつあります。本稿では、道路交通課題の解決の側面から、自動運転について述べましたが、続く後半では、人の移動課題の解決や産業の側面から、「なぜ、いま自動運転が注目されるのか」について述べたいと思います。

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