はじめに
今回は、筆者が所属する第一生命経済研究所が持家に夫婦2人で暮らす全国の60歳以上の男女を対象として行った住まいに関するアンケート調査から、シニア世代が自宅での生活で大切にしているモノやその理由についての回答結果をご紹介します。
夫婦2人暮らしでの自宅スペースの使い方
現在、60歳以上のシニア世代には、子育て期など家族の人数が最大化した時期のライフスタイルに合わせて選んだ住宅に住む人が多くいます。
内閣府が全国の60歳以上の男女3,000人を対象に行った調査によると、夫婦2人暮らしの男女では8割以上が一戸建ての持家に居住しています(*1)。このなかには、進学や就職、結婚等で子どもが巣立って以来、広々としたスペースを夫婦2人で使っているケースも多いようです。
2階建て住宅の場合、子の独立後は2階の子ども部屋を夫婦各々の個室として使い始めるケースもあるようですが、中には子や孫が帰ってきたときに使えるよう残しているケースもあります。
こうした場合を含め、2階建て住宅に住む人のなかには、加齢とともに階段の昇り降りがだんだん面倒になって、ふだんはもっぱら1階だけで生活している人も少なくないようです。
7割超は自宅にどうしても「捨てられないモノ」がある
実際、当研究所の先のアンケート調査によると、自宅にどうしても捨てられないものがあるかをたずねた設問に「かなりある」と答えた人は26.6%、「まあある」と答えた46.0%を合わせると7割を超えます(図1)。
「かなりある」と答えた人は男女とも3割弱を占め、男女にかかわらず、およそ4人に1人は捨てられないモノがたくさんあると感じているようです。