はじめに

シニア世代が大切にしているモノとその理由

広い自宅に、捨てられないものがあると感じている人の多いシニア世代ですが、いわゆる「終活」では、それらの整理・処分の必要性や経済的価値に目が向けられがちです。

しかし、それらのなかには、必ずしも経済的価値には置き換えられないものや、彼らが特別な思い入れを持って大切にしているモノも少なくありません。

図2は先の調査で得られた、回答者が自宅でもっとも大切にしているものと、その理由に関する主な記述内容です(抜粋)。これをみると、タンスなどの大型家具をはじめ、アルバムや写真、書籍や植木、趣味のコレクションなどバラエティ豊かな回答が並んでいます。

また、その理由をみると「洋服ダンス(理由:結婚時に両親があつらえてくれたものだから)、70代女性」「机(理由:私の使っている専用の机は、給料が安い時の高価な買い物でしたので、思い出があります)、60代男性」「アルバム(理由:子どもや孫の成長をみることができる)、60代女性」「植木(理由:面倒をみてあげるとそれに応えてくれます)、70代女性」など、さまざまな思い入れがうかがえます。

なかには「掛け軸、焼き物(理由:両親から贈られた物)、70代男性」「日記(理由:中2より書いている日記帳ですから、すでに63冊以上積み上げています)、70代男性」、「旅行先の現地の砂や石など(理由:思い出があり、二度とその地を訪れられないと思うから)、60代女性」といった、回答もみられました。

愛着の理由を聞くことが、備えについて話すきっかけになることも

60代以降の夫婦2人暮らしでは、身体機能が衰えて以降も住み慣れた自宅で安心して生活を続けるための自助的な備えとして、リフォームや家電製品等の買い替え、自宅にある不要品の整理・処分などを元気なうちから少しずつ進めていくことが重要だといわれています。

これらの作業は、先延ばしにしたからといってすぐに困るわけではありませんが、ケガや病気で日常生活に制限が生じたり、あまり高齢になってからでは自分だけで行うのが難しくなってきます。

また、家具の配置を工夫したり、モノの整理・収納方法を見直すことは、転倒など室内での事故を予防するだけでなく、地震や停電などの災害が起こった場合への備えとしても重要です。

ミドル世代が、自分はまだ若いと思っている親に、けがや事故を防ぐ必要性について話すのは気がひけるものですが、親が愛着を感じているモノやその理由であれば話題にしやすいかもしれません。

将来介護が必要になった際の備えについて話すきっかけになる場合もあるのではないでしょうか。

*1:内閣府「平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(概要版)」

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