はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する深野康彦氏がお答えします。

今、入っている保険を継続するか、解約するかどうかで悩んでいます。現在は医療保険とがん保険に加入しています。医療保険は60歳、がん保険は65歳までの払込終身保険です。毎年の保険料は10万円近くなります。最近、高額療養費制度があるので保険に入る必要性は低いということを知って解約を検討しているのですが、今後この制度がいつまで続くのかわからないため、判断がつきません。

個人的には、今後、国の医療費負担が増えることで、制度が廃止または変わるのではないかと不安です。FPのみなさんも「FPの家計相談シリーズ」のなかで、高額療養費制度について触られることがありますが、制度の今後についてはどのようにお考えでしょうか? 今、保険を解約しても問題ないのでしょうか? 現在の金融資産は460万円程度あります。
(30代前半 独身 男性)


深野: 医療保険、がん保険の継続について悩まれているのですね。質問者の方は現在、独身で金融資産もそれなりに保有されているようですので、いざとなれば金融資産を取り崩して医療費に充てても構わないとと考えるのあれば、保険は解約されてもよいと思います。

医療保険、がん保険、共に解約することが不安であれば、どちらか1つを解約。それで大丈夫だと思えるようであれば、その後、残りの保険を解約されてはいかがでしょうか。

保障内容について、ご質問からはわかりませんが、がん保険はがんだけに特化した保険なので、保障が広範囲の医療保険を残したほうがよいでしょう。あるいは、がん家系であるなど、がんが気になるのであれば、がん保険を残すとよいでしょう。

高額療養費制度の行く末は?

解約しても問題ない理由は、お持ちの金融資産で医療費を賄うことができると思われるからですが、質問者の方は高額療養費制度の行く末を心配されていますね。

今後も医療費が右肩上がりで増えることが予測されるので、将来的には高額療養費制度の内容が変わる可能性は高いと思われます。

しかしその反面、医療行為に関しては長期入院がしづらい、数年前と比較するとほぼすべての病気で入院期間が短くなっている。言い換えれば、その分医療費はかからなくなっている傾向があります(自由診療を受けた場合は除く)。

しかしながら、高額療養費制度の内容が大幅に変わるとしても数年先と考えられます。その間に貯蓄をしっかり行っていけば金融資産は増えていくはずです。つまり、金融資産で医療費を賄える割合も増えていくことになるのです。

“かける医療費”とは?

ここでの問題は大病などをした場合に質問者の方がどんな医療行為を受けたいかです。医療費には、「かかる医療費」と「かける医療費」があるのですが、問題はかける医療費です。

かける医療費というのは、名医に診察してもらいたい、執刀してもらいたい、入院は大病院かつ個室を希望など、自分の意思に基づいて選択する医療行為のために必要になる医療費のことです。この部分をどう考えるかが、医療費負担に大きく影響するのです。

ちなみに、かかる医療費は医療処置などを施してもらった場合、必ず支払わなければならない医療費のことです。たとえば、風邪を引いたときの窓口負担や薬代など、私たちが支払う実費のことです。

保険の解約、あるいは継続を考える場合、かかる医療費についてしっかりと考えた上で最終的な判断を下していただきたいと思います。

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