はじめに
「ユニクロ」「しまむら」は大苦戦
逆に良い決算と言えなかったのが、アパレル各社です。
「ユニクロ」や「GU」を展開するファーストリテイリング(9983)は前年同期比3%の減収、同12%の減益となってしまいました。同社が四半期ベースで前年同期比減収になったのは、12四半期ぶりのことです。
海外ユニクロ事業も不調だったようですが、やはり大きな原因となったのが国内ユニクロの不調です。国内ユニクロ事業は前年同期比5%以上の減収となりました。
ファーストリテイリングは9~11月が第1四半期にあたりますが、第1四半期時点で通期の業績予想を下方修正したこともあり、決算発表翌日に株価が3%近く下落しました。
また、「グローバルワーク」や「ローリーズファーム」などのブランドを複合展開するアダストリア(2685)も同4%の減収、同7%の減益。ロードサイドを中心に洋服店を展開するしまむら(8227)も同3%の減収、同27%の減益と、いずれも不調が目立ちました。
小売業界全体としての評価は?
これほどまでにアパレル・ファッション各社の決算が悪いのは、なぜなのでしょうか。当然、増税の影響もありますが、より影響が大きいと思われるのが、暖冬による冬物衣料の販売不振です。
ファーストリテイリングは決算説明資料の中で、業績不振の理由を「世界的に気温が高かった影響で、国内ユニクロ事業、グローバルブランド事業も計画に対して下回ったこと」と記載するなど、各社に大きく影響が出ているようです。
確かにこの冬は、東京で大晦日に最高気温が20度近くまで上昇するなど、季節外れの暖かさを感じることが多かったと思います。消費増税でただでさえ売上高が落ち込みやすいタイミングだったため、アパレル各社にとっては“泣きっ面に蜂”といったところでしょう。
ここまでみてきたように、業態ごとに好不調は出ているものの、個人消費が低迷して底割れしてしまったというほどの状況ではなく、まずは一安心といったところでしょうか。ただ、消費増税が消費者の財布のひもを締めることは間違いありません。今後も継続的に消費動向をウォッチする必要がありそうです。
<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>