はじめに

ウルグアイ牛がもたらした想定外の効果

ブロンコビリーでは、昨年2月、ウルグアイ牛の導入に先駆けて、地域限定の割安ステーキメニューを導入。その後、5月に満を持してウルグアイ牛の販売を開始したことで、ステーキの販売構成比が従前の20%台前半から30%近傍まで上昇。前年同月割れが続いていた客単価も、上昇基調に転じました。

同社で提供しているウルグアイ牛メニューは「炭焼き超厚切り熟成サーロインステーキ」。価格は、150グラム1,480円、200グラム1,780円などとなっています。

ウルグアイ牛を使ったメニューは、既存の同価格帯の商品に比べて20%を超える売れ行きを記録。「チェーン店でありながら、良い原材料を集めることで、ステーキハウスとしての認知度が高まった」と、竹市社長は総括します。

しかし、予想を上回る人気に加えて、産地から輸送に50日を要するというリードタイムの長さのため、8月には在庫切れに。代替品として、急遽、ニュージーランド産牛肉のステーキを導入することになりました。

翌月には、5月の発売後に発注した牛肉が国内に届いたため、ウルグアイ牛の販売を再開。同時に、竹市社長が現地の生産者を5ヵ所以上回り、信頼関係を醸成。今後の需要予測などを説明することで産地の信頼を勝ち取り、消費量を確保しました。

ブッフェ風サラダバー導入を検討

ただ、赤身肉は昨年末から価格が高騰しています。足元ではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)発効に伴う関税の低下が市場で話題になっていますが、アジア諸国での需要増などを背景に、中長期的には相場は値上がり傾向にあります。

ブロンコビリーでは3月分までの原材料は調達済みですが、4月以降は価格高騰の影響が本格化する見通し。この状況が続けば、せっかく人気を博しているウルグアイ牛も、採算が悪化しかねません。

こうした中で、2020年の重点課題に掲げるのが、サラダバーの野菜の品質の良さを前面に出した、新しい提案だといいます。

ブロンコビリーのサラダバー
ブロンコビリーの強みの1つであるサラダバー

他のステーキチェーンが立て続けにサラダバーを取り入れたことで、2004年にいち早く導入したブロンコビリーのサラダバーも、利用客からは他社と同じ目線で比べられる事態になっています。

しかし、同社のサラダバーは、野菜ソムリエが監修したメニューを、各店舗で調理して、新鮮なまま提供していることが強み。この強みを差別化材料とするべく、「サラダバーよりもブッフェのようなクオリティまで高める」(竹市社長)ことも視野に入れているそうです。

「本当においしい野菜が食べられて、ブロンコビリーに行けば健康になれる、という流れを作りたい」(同)。そのための改装を年内の早い段階で着手し、早ければ今年中に全店舗に展開したい構えです。

ウルグアイ牛に、サラダバー。これまで強みとしてきた要素が、次々と他社に追随されているブロンコビリー。自慢の調理力で差別化を図る構えですが、その強みをいかにわかりやすく消費者に訴求できるかが、勝負の分かれ目になりそうです。

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