はじめに
収入がない学生でも納付義務がある国民年金保険料ですが、支払いを猶予しているご家庭もあるのではないでしょうか?
将来的に納める必要があるとしたら、保険料をお得にする方法で納めることも選択肢の一つです。
学生納付特例制度を利用していませんか?
子供が20歳になると日本年金機構から国民年金加入のお知らせが送られてきます。収入がないのに毎月の保険料を支払うのは厳しいため「学生納付特例制度」を利用している人も多いかと思います。
厚生労働省「平成29年国民年金被保険者実態調査」からも、学生の保険料納付状況は納付者が23%、半分以上の65.3%は学生納付特例制度を利用していることが分かります。学生納付特例制度は、申請をすることにより在学中の保険料を支払う必要がなくなります。利用するには本人の前年所得が基準以下でなければなりません。
アルバイト収入が約194万円を超えると特例自体を受けることができないのですが、月収にすると16.16万円です。学生のアルバイトであれば超えてしまう可能性は低いかと思います。
なお、「保険料を納めなくていい=支払いを猶予されるだけ」ですから後日支払わなければなりません。そのまま払わないで放置していると、将来受け取る老齢基礎年金額が少なくなります。
ただし、学生納付特例の承認を受けてから10年以内であれば後から支払う「追納」ができる一方で、追納する時期によっては、当初より支払う保険料が高くなるので注意が必要です。具体的には特例を承認された期間の翌年度から数え始めて3年度目からです。
たとえば大学2年生で20歳を迎えた場合、社会人1年目で追納をしないと加算され、追納するまでの期間が長くなると加算額は大きくなります。毎月の定期収入が見込めない学生にとって助かる制度ではありますが、支払うことについて家庭内で一度考えてみてはいかがでしょうか。
親が支払うことで保険料がお得になる
今回お話しするのは、子供の国民年金保険料を親が代わりに支払うことについてです。大学の学費が高いのに国民年金保険料まで負担するのは厳しいと思われるかもしれません。しかし、親が支払うことで節税効果があるとしたらどうでしょうか。
国民年金保険料は支払った全額を社会保険料控除とすることができます。つまり親の収入から社会保険料控除として差し引くことができるので、年末調整か還付申告をして納税額を減らすメリットがあります。子供宛に届いた納付書を使って親が納付をすればそれで完了です。
どのくらいの節税効果があるか、年収700万円の会社員で所得税率20%のケースで見てみましょう。
令和元年度の国民年金保険料は1万6,410円、1年間で19万6,920円になり、還付される所得税は20%の所得税率で3万9,384円です。節税額は月額保険料の2ヶ月分以上、実質の保険料負担は月当たり1万3,128円まで下がります。
仮に社会人になった子供が支払う場合と比べてみましょう。「平成30年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」 によると、大卒男女の初任給平均は約20万6,000 円、年収にすると247万2,000円です。
所得税率は5%ですから、1年間の年金保険料を追納することで還付される所得税は9,846円です。親が支払う方が2万9,538円コスパがいいと言えます。