はじめに
「T/Bメソッド」とは?
――「T/Bメソッド」について教えてください。
T/Bとは、「Trial Balance Sheet」の略語で、一般的に「残高試算表」と呼ばれる大切な経理書類です。ただし本書のメソッドでは、すべての項目を縦1行に並べる普通の残高試算表のスタイルではなく、仕訳と簿記と決算書を同時にマスターしていただくため、左右対称の「5つの箱(資産・負債・純資産・収益・費用)」に分類します。
『簿記のしくみが一番やさしくわかる本』、14ページより
「5つの箱」が、仕訳の本質を理解し、仕訳から決算書が作成される流れをスムーズに習得するカギになります。「T/Bメソッド」では、仕訳をして、その結果を記録・集計する作業を経て、簿記の成果物として決算書(B/SとP/L)を作成するという一連の流れを、一気に理解していただくことができます。
『簿記のしくみが一番やさしくわかる本』、21ページより
仕訳や会計の達人の方は、頭の中で知らず知らずの内に、このT/Bメソッドを活用されています。
仕訳が初めてという方も、「5つの箱」のなかで「現金は左側の箱」であることを覚えることからスタートすればスムーズに理解できます。仕訳は、単に取引を記録するという作業だけではなく、経営成果を記録、集計、報告するための決算書作成に不可欠なツールです。
仕訳と簿記と決算書はつながっている、というイメージがあれば、決算書分析、キャッシュフロー経営など深いところまで理解できるのではないでしょうか。
――T/Bメソッドという言葉は、以前からあったんですか?
ないです。T/Bはありましたが、メソッドとつけたのは私が最初かなと……。今回、このメソッドをみなさんにご活用いただけるよう広めたいと思いまして、書籍のカバーにも名称をのせました。
本書は入門レベルからスタートし、深いところまで一通りご理解いただけるようになっているので、まったく簿記について知らない人でもこの1冊からスタートできます!