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狙い目は“二番底”?「新型肺炎」に学ぶ「ブラック・スワン」への向き合い方

リスクをとって暴落を買うべし

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新型コロナウイルスによる肺炎の拡大は「ブラック・スワン」だとよく言われます。「ブラック・スワン」とはナシーム・ニコラス・タレブ氏の著書で一躍有名になった言葉で、「起きる確率は非常に低いが、万が一発生した場合、甚大な被害をもたらす事象」のことです。別名「テールリスク」とも言われます。

テールとは確率分布のグラフの「裾野」のことで、たとえば正規分布のグラフ(釣鐘型のベルカーブ)の端っこのほう、つまりごく小さい確率でしか起きないリスクのことです。年末年始には「2020年大予測」という企画がさまざまなメディアで報じられましたが、その中で「新型肺炎」を予測したものはありませんでした。

まったくの「想定外」のことで、まさに「ブラック・スワン」だと言えるでしょう。問題は「ブラック・スワン」に遭遇した時の対処です。まずは様子を見るというのが賢明でしょう。実際、感染の拡大はいつ終息するのか見通しが立たず、経済や企業業績への影響もつかみきれないからです。

ですが、いつまでも指をくわえているばかりではいけません。「危機は好機(リスクはチャンス)」でもあります。結論から言えば、今回もまたこの「ブラック・スワン」でリスクをとって暴落を買うのが正解でした。


米国株市場はすでに最高値圏

「正解でした」と過去形で書いているのは、すでに米国株相場が回復しているからです。ダウ平均こそ先週末の大幅安をようやく埋め戻そうかという水準ですが、より広範に米国株式市場の動向を反映するS&P500指数は、史上最高値まであと1%未満という水準にまで戻りました(終値ベース)。

そして、ナスダック総合株価指数は前日比194ポイント高の9467.974で終え、1月23日以来となる史上最高値更新です。新型肺炎が世界の金融市場を揺るがしてまだ1ヵ月も経たないうちに、米国株相場は高値を追っています。これをどう解釈すればよいのでしょうか。米国株の投資家は楽観的過ぎるのでしょうか。

筆者には、世間にあふれる言説や見方のほうが悲観に傾きすぎていると思えます。新型肺炎の感染は最大級の悪材料の1つであることは間違いありませんが、「悪い」ことばかり見ているのは、「一部しか見ていない」ということです。

どんな悪い状況の中でも「良い」点は必ずあります。総悲観の中に希望を探すのが、投資の極意でもあります。

株式市場への影響はピークアウト間近?

たとえば、中国政府の対応もその1つ。中国共産党は習近平総書記ら最高指導部の会議を開き、「至らなかった部分を補っていかなければならない」と初期対応の不備を認めました。確かに初期対応に不備があったかもしれませんが、2002~2003年のSARS発生時の対応に比べれば、かなり改善されています。

また、Bloombergの報道によれば、中国政府は新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、約2週間前から武漢市だけでなく、十数に上る都市を事実上封鎖し、約5,000万人の住民の移動を制限しているといいます。肺炎の封じ込めにこれだけ思い切った策がとれるのは、中国が一党独裁だからです。

この中国による壮大な実験が奏功するかはまだわかりませんが、SARSの時もそうだったように、ウイルス感染は春になって気温・湿度が上昇すれば沈静化してくるものです。SARSの終息宣言が出されたのは2003年7月でしたが、市場は4月には底入れしました。

感染者数の増加が続いても、拡大のペースが鈍化すれば、市場はそれを悪材料のピークアウトととらえるのです。決して予断は許しませんが、米国株の反応を見る限り、ピークアウトは近いのではないかと思います。

<写真:ロイター/アフロ>

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