はじめに

キャッシュレス還元終了後はどうなる?

今年6月にはキャッシュレス還元が終了します。政府は切れ目のない対策を行うとし、東京五輪が終了する2020年9月からマイナンバーカードを用いた還元策を検討しています。

ただ、マイナンバー還元は保有者1人当たり総額5,000円が上限となり、決済手段当たり月1万5,000円(例外あり)が上限となる現行のキャッシュレス還元に比べると見劣りします。また、キャッシュレス還元の開始時に見られた各社のキャンペーンが、ほぼ終了している影響も懸念されます。

日本銀行による生活意識アンケート調査によると、消費増税で支出を減らさなかった回答者のうち、29%がキャッシュレス還元を理由として挙げており、終了の影響は大きそうです。そうしたこともあり、同調査では回答者の74%が「消費増税の影響は2020年の春以降も続く」と考えています。

弱い国内消費に対して、明るい見通しが見られるのは外需です。懸案だった米中通商交渉は第1弾合意がなされ、貿易問題への懸念は後退しています。また、半導体各社の5G(第5世代移動通信システム)関連投資が本格化し、日本の半導体関連輸出も大きく伸びています。

当面は、内需の弱さを外需の強さが覆い隠す展開を想定しています。しかし、底流としての日本経済の消費の弱さは続くと考えられ、特に東京五輪が終了する夏場以降の景気動向には注意が必要です。

<文:ファンドマネージャー 山崎慧>

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