はじめに

再エネ調達コストは削減余地あり?

日本では、再エネ調達コストが世界水準と比べて高くなっています。日本における火力発電のコストは1キロワット時当たり約12~14円程度。原子力発電では同10円程度となっているようです。これに対して、太陽光発電コストは2017年時点で同17円となっています。

しかし、世界においては、条件の恵まれている地域では太陽光・風力ともにすでに同3~4円を実現するところも出ているようです。つまり、世界では火力発電を下回る、もしくは同等の調達コストでの発電ができるようになってきています。

このような状況下だからこそ、温暖化に悪影響を及ぼす炭素を多く排出する火力発電への視線が厳しくなりつつあります。そう考えれば、日本の再エネ普及が一段と進み、再エネ調達コストはさらに低下する可能性も高そうです。

企業においても、BCP(事業継続計画)や持続的成長の観点だけでなく、コスト削減といった観点から再エネ調達を進める企業が増加していくと考えられます。ESG投資やRE100といった環境への意識の高まりによって、今後より一層再エネの開発が促進されるとみています。

日に日に圧力が増す環境対応

RE100など環境問題に取り組む団体は、各国政府に対して環境問題に取り組むように提言しているようです。また、機関投資家にも働きかけており、日に日に影響力を増しています。また、原子力発電に対する視線も原発マネー問題が発覚したことからより厳しさを増している状況です。

このような状況下では、日本政府はエネルギー政策において、今まで以上に再エネを活用する方向に変更せざるを得なくなってくる可能性があると思われます。丸紅(証券コード:8002)は2月3日、着床式風力発電所計画の事業化を決定しました。

太陽光発電においても、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)終了後が危ぶまれていましたが、環境問題へ貢献するといった観点などから、自家消費を目的としたニーズが高まっているようです。

また、今年は暖冬で暖房のための電力消費が抑えられたことや、降雪が少なかったことによって太陽光による発電量が増えたこともあり、電力スポット価格が2割安となったようです。これらのことも再エネの影響力を増す結果となっており、今後より一層再エネに注目される流れは加速していくと予想しています。

<文:投資調査部 饗場大介>

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