はじめに
背中から感じるエンジンの咆吼
気持ちよくトルクが上昇していくV10エンジン
キュキュっと一瞬だけスターターモーターが回ったかと思ったら、クォ~~~ンと甲高い、周囲を揺るがすかのようなサウンドとともにV10エンジンが目覚めました。この儀式だけでも「あぁ、我が家のボロガレージじゃ、絶対に迷惑だよな」と諦めの気分です。それ以前に3,282万7,601円(税込)の車両価格や諸々の諸経費があれば、住宅ローンを払ってしまいますが……。
10秒ほどだったと思いますがその甲高いエンジンサウンドはすぐに落ち着きを取り戻し、エンジンの回転数が1千回転ぐらいのところで安定します。それでもボボボボボッと後ろからは存在感たっぷりのサウンドと、かすかな振動が伝わってきました。さっそくブレーキを踏みながらパドルシフトを操作して1速にセットします。ブレーキを離してアクセルに右足を乗せ、少しだけ踏み込みます。ゆっくりと走り出すのですが、まだランボルギーニのV型10気筒エンジンとして“史上最強”と言われる640馬力の素顔は見えてきません。一般路ですからごくごく静かに走り出します。
ここですぐに感じたのは、ごく普通に走らせている限り、エンジン音だって凶暴でもなく、レスポンスのいい自然吸気エンジンはとても扱いやすく、乗り心地もゴツゴツとした感じもなく、なんとも快適なのです。不要なアクセル操作や見せびらかしのためのアクセル操作をしない限り、周囲が眉をひそめるようなうるささはありません。
フロントフードのを開けると荷室が現れる
でも運転がしやすく、快適に走ることで少しずつクルマが体に馴染んで来ます。そうすると信号待ちからのスタートなどで、少しずつアクセルの踏み込み量が増えるのです。ウォ~ンと少し遠慮しながらもエンジン音を響かせていると、どんどん楽しくなっていきます。そしていよいよ高速道路に突入です。