はじめに
マスク販売額はピーク時の13%に縮小
2月6日にはマスクが残っていた2店舗が、25日にはどちらも品切れとなっていました。日本国内でも感染が拡大している中では、無理もないのかもしれません。
これだけ品切れの店舗が続出しているのであれば、マスクの売り上げも前回以上に膨らんでいるのではないか。そんな仮説を確かめるべく、前回も全国の販売データを調べてもらった市場調査会社インテージから、最新データを取り寄せました。
しかし、ここで意外な結果が明らかになったのです。前回の記事化時点で最新のデータだった1月27日~2月2日は、全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど約4,000店で187億円(平年の8.9倍)にも上ったマスクの販売額は、その1週間を境にピークアウト。翌週には平年の3.1倍程度まで低下し、直近の2月17~23日は25億円と平年の約1.4倍まで縮小していたのです。
2月上旬にはマスクを販売していた店舗でも現在は品切れとなっているくらいなので、肌感覚と実績数値との間にはかなりの乖離が生じてしまいます。インテージの担当者も「あまり経験のない事象が起きています」と困り顔。考えられるとすれば、次のような仮説です。
マスク用スプレーが販売急伸のワケ
1月27日~2月2日の週は、まだ国内の感染者数が2ケタで推移していた頃。マスクの市中在庫も潤沢に残っており、それを販売に回したことで売り上げが急拡大。しかし、2月中旬以降に感染者数が爆発的に増え始めると、消費者の不安心理も一気に増大。在庫もはけてしまい、売り上げが急激に縮小したと考えられます。
一方で、政府がメーカーにマスクの増産を要請したことで、供給量は平年よりも増えているはず。都内の店舗は供給を需要が大幅に上回っているため、欠品騒動となっていますが、地方では増産されたマスクが店頭に並び、平年を上回る販売額につながっているとみられます。
マスク以外の除菌関連商材の売り上げ推移も、マスクと同様、1月27日~2月2日の週に急伸し、その後はピークアウトしています。背後には、マスクと同じ事情が考えられます。
ただし、マスク用除菌・ウイルス除去スプレーだけは直近の2月17~23日の週に再び売り上げが急伸しています。その背景として、マスクの欠品が深刻化する中で、マスクの使い回しのためにスプレーを購入する人が増えているのではないか、という推論が立てられそうです。
マスクに出合えるのは開店直後だけ?
ここで、話をマスク探しに戻します。前回取材と同様、最後に郊外の住宅街として、東京・府中市を調査しました。京王線・府中駅の駅前の数店を回りましたが、こちらでも一般的なマスクは見当たらず、かろうじて1店舗で蒸気マスクが売られているだけでした。
今回の取材で訪れたのは、合計9店舗。このうち、一般的なマスクが売られていたのはゼロ。蒸気マスクまで範囲を拡大しても2店舗でした。
2月上旬であれば、夕方以降でもマスクを販売している店舗がありました。しかし現在は、開店前から大勢の人が行列をつくり、入荷直後の商品を根こそぎ買いきってしまう状況。残念ながら、開店直後でないとマスクに出合えるチャンスは激減しているのかもしれません。