はじめに

運転感覚も変わらないので一瞬にして体の一部に

さっそくドアを開けて乗り込むのですが、ここでも普遍の利点を見つけられます。ドアの前後の長さが2ドアのスポーツカーとしては短めで、乗降性がいいのです。ボディ脇のスペースが不足気味でもドアが短いため、大きく開けるのです。

さっそくシートに座ります。ここからはどの年代の911に乗っても同じ風景なんです。もちろん各部のデザインは時代と共に大きく変化してきましたが、基本レイアウトがほとんど変わらないのです。

実は私も930時代と964時代の911と通算で16年ほど付き合った経験がありますが、その後、どの年代の911に乗っても、すぐに体に馴染みます。極端かも知れませんが5分も走れば、自分の体の一部のようになります。「そんだけ乗り続けていたらすぐに馴染むのは当たり前だろ」と言う人もいるかもしれません。でも半世紀にわたって基本的なポジションが変わらずに守られていることが凄いと感じます。目線の高さ、シートのホールド感、フロントガラスから見える風景など、どれをとっても同じで、911を乗り継いだ人にとっては、あっと言う間に慣れ親しんだ感覚で新しいモデルを走らせる事が出来ます。

もちろん最新の992も変わりませんでした。すでに964と別れてから10年以上経ちましたが、走り出した途端に体にフィットするのです。本当に不思議ですが、一方でポルシェは半世紀以上前に、自分たちが理想と考える運転感覚を掴んでいたことにもなります。

9

右ハンドルで左側のフロントフェンダーの稜線が確認でき、車両感覚が掴みやすい。

では初めての人にとってはどうか? もちろん最初は慣れるまで、それなりに時間もかかると思いますが、ポルシェのドライビングポジションは車両感覚を掴むには適していると思います。目線が高めで、グラスエリアも広いということがストレスを軽減してくれます。例えばフロントガラスから左右のフロントフェンダーの稜線が見えるのです。これが見えるだけでも左右の車幅感覚がスッと把握できて運転がとても楽になるのです。

車両感覚が掴みやすく、運転のストレスが軽減されるとスポーティな走りもさらに楽に行えますから、スポーツカーとしての能力をより高いレベルで引き出すことも出すことにもなります。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介