はじめに
注目は3月中旬のFOMC
さらに、翌週の3月17~18日には米FOMC(連邦公開市場委員会)が予定されます。ここが1つのターニング・ポイントになるかどうか、注目です。
米FRB(連邦準備制度理事会)は2月28日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急声明を発表しました。その内容は当局が経済を下支えするために適切に行動することを表明したもので、3月の会合で利下げに踏み切る用意があることを示唆したものといえます。市場では、利下げ幅が0.50%に達するとの観測も高まっています。
米国では、長期債の利回りがすでに1.1%台という史上最低レベルに低下していることから、利下げの効果は限定的とする見方もあります。しかし、当局から改めて金融政策面での積極的なサポート体制が示されれば、安心感の高まりとともに市場のモメンタム(勢い)は改善に向かうことが期待されます。
実際、週明けの3月2日には日本銀行が市場の安定を確保するために、潤沢な資金を供給する用意があることを明らかにしました。日米が協調的な金融緩和姿勢を示したことで、同日の日本株は反発に転じています。やはり、非常時の金融緩和策は株価の下支えに一定の効果を発揮するようです。
重要なのは“水準”よりも“時間軸”
とはいえ、株価の急激な下落局面では、下値のメドの判断も困難を極めます。一時的に株価が下方にオーバーシュートする可能性は否定できず、引き続き注意が必要です。
しかし、こういった状況下では、株価がいくらで下げ止まるかという水準感もさることながら、いつまでに落ち着きを取り戻すかといった時間軸が有効な局面ともいえます。
すなわち、2月29日の記者会見で安倍晋三首相が語ったように、今後1~2週間が急速な感染拡大に進むか、収束するかの瀬戸際であり、マーケットの方向性を見極めるうえでも同様です。ここを期待通りの結果で乗り切れば、その後の株価回復に向けた道筋もはっきりしてくることでしょう。
株価の大底をピンポイントで当てることは難しいとしても、大底近辺に近づきつつあることは確かだと感じられます。投資のパフォーマンスを最大化するためにも、そろそろ本格的な押し目買いを検討しても良いかもしれません。
<文:投資情報部 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和>