はじめに
開成の野球部にみる「失敗しても気にしない」ことの大切さ
実はここに問題が潜んでいます。
よく部活に例えられますが、以前の運動部では(今もそうかもしれませんが)新入生は基本技術(球拾い)ばかりさせられてなかなか、あるいはバッターボックスに入らせてくれない、ゲームに出させてくれない、などというのはありましたね。
ところが確か開成でこんな話を聞いたことがあります。かなり前のことですが、東大野球日出身のOBの監督が就任して、初めからバンバン打たせてくれて、うまくバッティングすればいかによく飛ぶかを指導してくれるものですから、クラブ活動が面白くて堪らない。おかげでフェンスをこえて西日暮里の駅までよく球が飛び込んで困る、と駅から苦情がくるようになったという愉快な話。
10年ほど前に亡くなられた事務長さんからうかがいました(このあたりのことについては『弱くても勝てます』高橋秀実著 新潮社刊に詳しく書かれていると思います)。
何しろ抜群にお話の上手な名物事務長さんで、メモなどとっていませんから細部は不確かですが、やはりビギナーにはこれは面白そうだ、という感激が大切だと思うのです。
そのためにはちょとしたスキルを習得するととてもうまくいった、などという体験が何といっても効果的ですね。
それは活字だけではダメで身体をつかい、五感で感じとる必要があります。失敗をしても気にせず工夫して成功するの経験をもつことが次のステップに踏み出す気力を与えてくれます。
理科と社会は実際の体験と向き合う必要がある
そんなことは皆様もよく知るところですが、なぜか教科の勉強となると活字と向き合う受信ばかり(つまり球拾いばかり)でまだ経験が乏しい10代の子どもにとって頭に入りにくい。やはり球を拾うばかりでなく、打たせて発信して、右に飛んだり左に飛んだり、ゴロになったりしながらヒットの感覚を会得していくように、特に理科・社会は実際の現象と向き合う体験が欠かせません。
しかもこれからの10年で地球温暖化が取り返しがつかないところまで行くかもしれない、という警告が国連の機関で宣言されている時代です。まさに10代の子どもたちにとってきちんと考えてみるべき問題ですから今回の武蔵の取り上げた気候変動は適切な問題といえます。
このように議論を広げていくとをタカの目さんのいう「変化の波」を象徴する問題であり、「大問一題」形式に注目!といえると思います。もっともこれを武蔵などのように記述させる試験もあればプレゼンテーションをさせる宝仙理数インターのようなところがあってよいと思います。