はじめに

投資家がセブンに求めているもの

日本で長く生活するフリー・ジャーナリストの西村プぺ・カリンさんは2008年のフランス語の著書、「LES JAPONAIS(日本人)」でコンビニ(Konbini)に触れ、「日本では水、ガス、電気、通信に次ぐ第5の欠かせないインフラとして考えられている」などと説明しています。

そのコンビニも、国内では踊り場にさしかかった感があります。日本フランチャイズチェーン協会によると、2008年末のコンビニの店舗数は4万1,714。2020年1月では5万5,698店と11年余りで3割以上増えましたが、今では「飽和状態」との受け止め方も少なくありません。2019年末の店舗数は前年比0.2%減と、2008年以降では初のマイナスに転じました。

セブン&アイからすれば、米国でのコンビニ事業拡大に活路を見い出すのは、理にかなった選択ともいえるでしょう。もっとも、同社の株価のパフォーマンスは相場全体に比べて見劣りしているのが現状です。

セブン株価とTOPIX

上のグラフは、多くの機関投資家が運用のベンチマークにしている東証株価指数(TOPIX)とセブン&アイの株価の推移。いずれも2018年末を100として指数化したものです。グラフを見ると2019年以降、ほぼ一貫してTOPIXを下回っていることが読み取れます。

投資家が待っているのは、「スピードウェイの約4,000の店舗を加えることで、米国でのプレゼンスを一段と高める」というシナリオに代わる新たな成長戦略なのかもしれません。

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