はじめに

サポーターがいない男性

さらに、男性はこうした支援を求める相手が「誰もいない」と回答した人が、女性よりも多い傾向にありました。特に、お金の援助や身辺トラブルの解決、自分を評価してくれるといった、具体的なことへの支援者がいない、と考えている割合が高くなっています。

対人関係が多様な人は、自分とは異なるモノの見方、興味関心や価値観、行動などに触れる機会を多くもっているということでもあり、状況に応じた支援を「選択できる」可能性をもっています。

一方、そうした選択肢が少なく偏っていると、支援者がいなくなった時(または、そもそもいない場合)、孤立や独居が重なることで精神的・肉体的な健康状態にも影響を及ぼしやすくなります。

図3:ソーシャルサポートを求める人が「誰もいない」人の割合(抜粋)

相談できる人の存在を確認する

つながりをもつことは、いざという時の具体的な助けになるだけでなく、精神面の安寧をもたらすともいわれています。女性はこうした環境を上手に活用しながら、多様なつながりをもっているようです。

一方、男性はつながりがないと考える人が女性よりも多いことが明らかになりました。特に高齢期になると、男性はつながりがないがゆえに社会から孤立してしまうこと(社会的孤立)が問題視されています。

人とのつきあいは、いつも心地よいとは限りません。ときに不快な思いをすることもありますが、やりとりの積み重ねによってお互いの信頼が生まれ、関係が築かれていきます。今は具体的な助けが必要ないとしても、長い人生でつき合い続けられそうな仲間はいるか、新たなつながりをつくるとしたらどうするか考えてみることも必要でしょう。

今や電話やメールだけでなく、SNS、そしてテレビ会議・Web会議システムなど、スマートフォンやPCがあってインターネットに接続できれば、簡単にやり取りができるツールが多数用意されています。

学校の一斉休校やテレワーク、各種イベントの中止など、活動範囲や行動が制限され自粛ムードが続けば、「当たり前」のことができないことへのストレスが知らず知らずのうちにたまっていきます。

そうした時、直接会うことができなくても、これらのツールをうまく活用しながら、信頼できる人たちと連絡を取り社会的なつながりを維持すること、そして日々変化する状況にも精神的な不調に陥らないよう、意識的になることが大切です。

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