中国で発生した新型コロナウイルスの感染者拡大数が同国において減り始めていた2月19日まで、米国の株式市場では最高値更新が続いていました。

ただ、その直後の22日から米欧を含め世界的にウイルス感染拡大が広がっていることが判明。24日以降、世界の金融市場は様変わりし、「コロナショック」とも言えるショックに見舞われました。


コロナショックのこれまでを振り返る

最高値圏にあった米国の株式市場は急落。安全資産である米欧国債に投資資金は殺到しました。

その後、3月7日にニューヨーク州がコロナウイルス感染拡大を受けて非常事態宣言を発表。さらにロシアとの減産協議決裂を受けて、サウジアラビアが原油増産を打ち出し、原油価格(WIT先物価格)が30ドル/バレル付近まで暴落する新たなショックも相まって、週明け9日の米国株は7%以上もの歴史的な急落となりました。

これらのショックにすばやく反応したのは債券市場です。米国10年国債金利がゼロに接近し、筆者がまったく想像していなかったレベルまで一時低下するに至りました。米10年金利が0.3%を下回った9日の欧州時間の朝方が、金融市場の悲観が最も極まった時間帯だったかもしれません。

同日の米国株は急落。債券市場の値動きに遅れて、コロナウイルス感染拡大やその余波で、米国の経済成長率が大きく落ち込むことを織り込み始めたと位置付けられるでしょう。その後、ドナルド・トランプ大統領が大胆な減税政策を行うとの報道がきっかけとなり、10日には米国株がいったん反発しました。

ただ11日には、コロナウイルスの拡大が続いていることに加えて、トランプ大統領の目指す大幅な減税政策が議会の反対で実現しないのではないかとの疑念などから、米国の株式市場は再び5%近い急落となりました。これで米国株式市場は、高値からの下落率が約20%に達する、いわゆる「ベアマーケット」に至りました。

市場は何をどこまで織り込んだのか

近年見られた高値からのS&P500の下落率(終値ベース)を振り返ると、米中貿易戦争懸念が起きた2018年後半の▲16.5%、チャイナショックが起きた2015年半ばから2016年初の▲14.2%があります。これらを超える高値からの米国の株価下落が、わずか2週間余りで起こったことになります。

最近の米国株の短期間での急落は、2008年に発生したリーマンショック以来の値動きです。当時、米国株はリーマンショックを挟んで高値から50%以上の下落となりました。米国の金融市場では、リーマンショックと同様の危機がコロナショックで起こりつつあることが幅広く織り込まれつつあります。

先述したように、米国の債券市場では米10年国債金利が3月初旬の時点で1%を下回り、史上最低水準を更新していました。この債券市場の値動きは行き過ぎだった、と筆者は考えていますが、これにやや遅れる格好で、米国の株式市場はリーマンショックと同程度の経済活動の収縮が起きるとの恐怖に包まれつつあります。

最大の問題は、2020年に起きているコロナショックが、2008年のリーマンショックと同様の、戦後最大級の世界的な経済の落ち込みをもたらすかどうかということでしょう。2020年の米国を含めた世界経済の行方は、世界中で広がっているコロナウイルスの感染者・死者の増加がいつまで続くかに、まずは依存するでしょう。

<写真:長田洋平/アフロ>