はじめに

操作感、レスポンスよし

走り出すとすぐに走りの素性の良さが伝わってきます。スペック面で500馬力を超えるようなスーパーカーよりも気楽に考えていましたが、なんのなんの、これが相当に手強いフィーリングなのです。アクセルを踏み込めば、強烈ではないのですが、パワーと盛り上がってくるトルクを全身で感じます。

体をガッチリとホールドしてくれるシートだが座り心地もいい

軽量であり、それに見合うだけのパワーがあるということはこれほど楽しいものなのか、そんなことを十分に感じさせてくれるほどレスポンスがよく、速度も上がっていきます。ここで本当にドライバーは調子に乗ってしまいます。

コーナリングに突入すればその走りはさらに楽しいので、こちらももっと調子に乗ることになります。ステアリング切ると瞬時にノーズが行きたい方向に向いてくれます。右にスッと切り込むとスッとほとんど遅れを感じることなくググッとノーズが右に向きます。そこからさらに切り込めば、本当に自分の考えている方向が分かっているかのように、思ったまま向きが変わっていくレスポンスのよさ、さらにその操作感の良さに思わずニンマリです。

これが切れのいいフィーリングということなのでしょう。おまけにコーナリングは路面に貼り付いたように安定しています。これも重心が低く、軽量であることのお陰です。そのコーナリングのレベルは相当に高いので、少しぐらいのことでは姿勢を乱すこともない気がします。多分、公道で法規を守って走る限りは破綻を迎えることなどないかもしれません。

おまけにもうひとつ、ブレーキのフィーリングのいいこと。ペダルを踏んだときのタッチの良さだけでなく、踏力に合わせてジンワリと制動力を増していくブレーキの感触は「こりゃ気持ちいい」というものです。走りにおいて軽量であることの利点が随所で感じることができるのです。こうなると本当にペースが上がります。

だからこそ抑制する気持ちをしっかり持っていないと260馬力であろうとスーパースポーツ以上に気を付けなければいけないのです。でも、そんなことを言ってもこんなに楽しいクルマは久しぶりですから、気が付くとずっと笑顔なんです。試乗車を返すとき、もっと乗っていたいなぁ、と感じた1台でした。

そしてこのクルマをわが国では新車でまだ買えることに感謝しつつ、このクルマを買える人をとても羨ましく感じたテストでした。あ~、860万円、許されるなら欲しい…。でも確実にもう1台、普段使いが必要だよな……。現実味がどんどん薄れていきました。

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