生活

65歳までに総資産1億円を計画、法を守って節税したい

FPの家計相談シリーズ

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読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する野瀬大樹氏がお答えします。

55才の会社員、妻と3人の子供がいます。現在の資産は3,000万円。すべて自分名義の口座です。マンションの価値は暴落して1,000万円、こちらも私の名義です。今後の資産運用としては毎月40万円を投入して、65歳までに1億円を計画しています。その後は年金とその1億円の利息で生活していく予定です。

しかし、このままだと財産分与で相当な税金を払わなければいけないと思っています。妻や子供に名義を移し、税法を守りながらどのように節税すればよいのか。ご指導ください。
(50代後半 既婚・子供3人 男性)


野瀬: まず現在の状況を整理しましょう。

「自分名義の口座」とありますので、おそらく3,000万円というのは貯金のことかと思います。一部、投資信託や株もあるかもしれませんが、いずれにせよ、すぐに現金化できる資産かと思われます。

それに加えて1,000万円の不動産を持っているのでしょう。広さはわからないですが、家族3人で住んでいるのであれば、おそらくそれほど狭いものではないと思います。

推測するしかないですが、地方都市の築20年程度の3LDKマンションというあたりでしょうか? 仮にそうだとすると「暴落して1,000万」とありますが、これ以上落ちることはないでしょう。その点は安心してください。

現在持っている資産を整理すると、すぐに換金可能なものが3,000万円、換金が難しいものが1,000万円の計4,000万円となります。

余裕ある老後のためにはいくら必要?

次に今後の話です。今回のご質問を受けて、私がまずビックリしたのが「月40万円」を貯蓄や資産運用に振り分けられる経済力です。

老後資金のためとはいえ、ここまで大きな金額を振り分けられる時点で同世代のなかではかなり上位の経済力を持っている方かと思います。

そして、今後10年間、月40万、年480万円を積み立てていくと、65歳時では不動産と合わせて9,000万円近い資産を築けることになります。運用次第では1億円も可能でしょう。

FPがよく言う「老後資金3,000万」という言葉がありますが、なにが起こるかわからないこのご時世に余裕ある老後を送るためには「老後資金1億円」が必要と言われています。

質問者の方の場合、すぐに換金できない不動産を除いても8,000万円近くの資金が用意できますし、不動産があるということは家賃がいらないということですので、この老後資金は「ほぼクリア」と言ってもよいでしょう。

よくテレビで特集されるような「老後破産」になる可能性は限りなく低いと思います。

今後の財産防衛をどうするか?

さて、ご質問の方は「老後が不安」というよりは、奥様やお子様により多くの財産を残したいと思われているため、その点についてアドバイスいたします。

1:財産を減らさないように年金と利息で生活

質問者の方が国民年金なのか厚生年金なのかはわかりませんが、「年金と利息で生活」と考えられているので、おそらく厚生年金かと思います。

厚生年金であれば平均して月額15万から17万円程度が支給されますので、ご自宅を持っている方の場合、年金だけで生活をすることも十分可能です。

また「利息」とありますが、このご時世、1億を持っていても利息は年間100万円もありません。この傾向は今後もしばらく続くでしょう。

ですので、利息にはあまり期待しないほうがよいです。利息があれば儲けもの、たまに夫婦で旅行でも行くか……ぐらいのイメージにしましょう。

通常、老後資金のみをお考えの方であれば、いくらかの資金を投資信託で運用し、老後は分配金などを生活の足しにする方法をご提案するのですが、「配偶者などに資金をより多く残すこと」を第一に考える場合、値下がりの可能性がある投資信託は少し優先順位が下がります。まずは預金中心の安全資産で運用しましょう。

控除をフル活用しよう

2:相続対策をしておく

1億円程度の財産を持っているのであれば相続税の対象になる可能性が十分にありますが、質問者の方の場合、こちらについてはそれほど恐れることはないと思います。

まず第一に、奥様への相続が生じた場合には特別に控除額が1億6,000万円まで認められていますので、基本相続税はかかりません。

実際は、通常の基礎控除である「3,000万円+法定相続人の数×600万円」よりもかなり大きな控除が受けられることになります。

次にお子様ですが、こちらには今から少しずつ贈与をしておくとよいでしょう。

ご存知の通り、相続税には年額110万円の控除額がありますので、この範囲内で毎年少しずつ贈与しておくとよいと思います。現在55歳ですので、75歳までの20年間かければ2,000万円ぐらいは贈与できるでしょう。

ただし気をつけていただきたいのが、税務署から「あらかじめ決められた一定額贈与の分割払い」と指摘されると、贈与税が課せられる可能性がある点です。金額や贈与のタイミングはある程度バラしておいたほうがよいと思われます。

あとは、お子様にお孫様がいらっしゃったり、自宅を購入・リフォームする予定があるのでしたら「教育資金の贈与の特例」や「住宅取得資金等の贈与の特例」を使いましょう。

お孫様の教育資金目的であれば1,500万円まで、住宅の購入やリフォームのためなら1,200万円まで…つまり合計2,700万円までの贈与が非課税になります。

どちらもかなりお得な制度で条件を満たすケースは多いですので、ぜひ利用してください。

相続の基礎控除の「3,000万+法定相続人×600万」、贈与の基礎控除「110万×20年」、教育資金と住宅資金の非課税制度の合計「2,700万円」。それに加え、将来的な奥様からお子様の贈与も考えると、相続税の心配はあまりいらないように思います。

心配しないで大丈夫です

結論として、お金は安全資産で貯めつつ、徐々にお子様に贈与、お亡くなりになったら奥様中心に相続、その後、奥様からお子様へと贈与、教育資金と住宅資金との特例をフルに使う。このようにしていけば、おそらく相続税を取られる可能性はほぼないと考えられます。

奥様が先に亡くなられる可能性もゼロではありませんので、安全のためにもお子様への贈与はすぐにでも計画を立ててしっかりと進めておくとよいでしょう。

今回の質問に対しての正直な感想は「条件はよいので安心してください」ということです。

十分な収入を持ち、値下がりしたとはいえ不動産もこれ以上下がる心配はありませんし、老後の住む場所も確保されています。また財産も相続税がほとんどかからない程度に収まりそうなので、あまりご心配せず、ご家族と楽しく毎日を過ごしていただければと思います。

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